終幕
文字数 461文字
『
と。
そうしたら、またも斜め上から切り返されてしまった。
『そのことだけか? 俺の求婚を受けてもらえないのは』
と。
『それだけが理由なら、心配要らない。建前上は平民だって
これを、たとえば想い寄せるあの人が王子の地位にあったとして、その彼に言われた台詞なら、心底ときめいたのに。
そう思ってしまう辺り、やはりスリョンは彼を男としては見られないのだろう。見られれば、想い寄せてくれる彼の妻にいっそなれるのなら、どんなに楽になれるか知れない。
(……あたしだけじゃないわね)
クスリ、と小さく苦笑が漏れる。
すでに人妻になってしまったソニェを想い続けるヒョヌも、その彼の想いも知らずに
【了】