一文小説集「集会」等五篇

文字数 248文字

【集会】

 近所の裏路地で野良猫の集会に出くわしたが、よく見ると集まっている野良猫のうち三分の一くらいが、誰かが置いた剥製だった。



【不可】

 白い羽に赤い「不可」のスタンプを捺された蝶が、殺虫剤の缶をペロペロ舐めている。



【綿】

 最後の人間の剥製を作っているロボットが、中に詰める綿の感触をしばらく楽しんでいる。



【夏】

 今年も町に夏が来て、「入道雲は皆の物です」と書かれたチラシが配られ始めた。



【ゲスト】

 霊柩車のカーラジオでしか受信できないラジオ番組の今週のゲストは久しぶりに、生きている人間だった。
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