第19話

文字数 487文字

 社会人になって、文章を書き始めたきっかけは、暇を持て余したからだ。
 夜中の十二時、私の隣で、ながながと体を伸ばし、いびきをかいて寝ていた飼い犬の鼻を触って、がぶりと左指をやられ、神経が指の先から出てきてしまった。手術をし、手術室から病院内のコンビニに行こうとしたら、看護師さんに怒られた。
 「動脈にメスいれてるから、じっとしててください」
手術後、ほんの数日、入院をした。はやく退院させてと、先生にせがんだ。テレビには飽き、外にも出られず、風景にも飽きて、文章を書いてみようと思ったのが、最初の一歩だ。
 新聞投稿に、地方の文学賞、コンクールへの応募。二塁までは出られたが、ホームランはまだない。でも、文章ってあちらこちらに旅をできるので、楽しい。
 苦手な営業職をあえて選んでみた私、いろんな人と話をたくさんしてきたから、会ってきたから、みんなが相手をしてくれたから、私の中の人との関わり辞書は、秀逸だと自負している。
 私が出会ったすべての人に感謝する。もちろん、ハイヒールの嫌味なねーちゃんにもだ。
 感謝の言葉で紡いで、元気や、気力を形どっていく、これが私の最終目標だ。
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