第7話 みがわり -6-

文字数 609文字

「康太くん、教えてくれ! 

は、誰に、どこに連れていかれたんだ!」

 急に良夫が大声を出して、「康太」が身体を強張らせたが、そんなことは気にしていられない。悠馬の身に何か起こった可能性が高いのだ。

「わ、分からない……。気づいたらここにいて、一緒に遊んでいた子が、良夫くんを連れて消えちゃったの。『もうお前と遊ぶのも飽きたから、次はこいつと遊ぶ』って」

「一緒に遊んでいた子って誰だ!」

「知らない子。変な恰好してたけど、色が白い男の子」

 良夫の剣幕に押されて、「康太」が涙目になっている。良夫はいったん落ち着こうと呼吸を整えた。誘拐かとも思ったが、ただ子供と遊んでいるだけということかもしれない。

「君は、なんで知らない子と遊んでいたんだ?」

「かくれんぼしてたら、知らない間にその子も混ざってて、一緒に遊ばないと家に帰してあげないって……」

「かくれんぼ……」

「うん。学校の帰りに、良夫くんたちと五人で神社のそばでかくれんぼしたの。一人見つけたと思ったらその子で、知らない子だったから、誰だってきいたら、一緒にかくれんぼしたいから混ざったって言ってた。その後は、その子と良夫くん達を探したけど、全然見つからなくて……。みんな帰っちゃったんだと思って、その子と二人で遊んでたの」

 あの日の失踪事件の記憶が蘇る。鬼だった康太が全然探しに来ないので、みんな一度集合して康太を探したが、結局見つからず、先に帰ったものと思っていた。
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