第六章「探索」

文字数 3,523文字

令和7年(2025年)5月3日(土)
関東地方でM8.8の巨大地震が発生し、今も復旧は進まない。
秋葉原や原宿、池袋、上野等の観光地もすべて崩壊しており、
住宅街は大規模火災やコンクリート塀が倒壊し、73万棟が全壊した。
多摩西部では大規模な土砂災害が発生した。
東京都内は今でも、酷い状況が続いている。

日比谷公園

ある日遥達は日比谷公園で、食事をしていた。

未夢「ハムッ!いやぁ~うめぇーな!」
遥「掛さんが仲間に加わってもう数日経ちましたね。」

未夢は掛に配給のたこ焼きを差し渡した。

未夢「ほら、たこ焼きでも食えよ!」
掛「はい・・・いただきます。」

掛はたこ焼きを一口にした。

掛「いやぁ~避難所のたこ焼きもなかなかのもんだな。」
木村「それもそうだな。こうやってみんなで食べるのもいいじゃないか!」
掛「ああそうだな。」

すると掛はあることに閃いた。

掛「そうだ!俺、ちょっと探索したいところがあるんだ!」
遥「え?それって?」
遼真「どんな所?」
掛「銀座へ行きたいな。」
遥「銀座?」

そして、銀座にやってきた遥達は、
大地震でボロボロになっていたデパートを見つけた。

遥「掛さん、ここは・・・?」
掛「銀座〇越だ!ここなら何でもありそうだから
  色々補充できそうだな!」
遥「でも、しかし・・・。」

しかし、遥はそのデパートでの探索には全く乗り気ではなかったが
弟の遼真は平気で遥にこう伝えた。

遼真「大丈夫だよお姉ちゃん!この懐中電灯さえあれば、
   暗くても大丈夫だよ!」
木村「確かに気味悪りぃな。君たち補充が終わったら、
   すぐにここに戻るんだぞ!」
未夢「よし!行ってみるか!」

そして、遥達はデパートの中を探索始めた。

≪《ポイント⑦ 地震で荒れ果てている建物は
      危険なので、絶対に入らないように!》≫

銀座〇越の内部

大地震で停電して荒れ果てていた
デパートのフロアを探索している遼真と未夢。
そこはもう真っ暗でフロアは不気味だった。

未夢「ずいぶん気味悪いなぁ~。お前、本当に大丈夫なのか?」

未夢は不安そうだが、遼真はそれでも平気だった。

遼真「大丈夫だよ!僕は林間学校で何度か肝試しをしたことあるからね!」

すると遼真はあるものを見つける。

遼真「あっ、あれって!」

遼真はその場所をに向かった。

未夢「待て、遼真!走ったら危ないぞ!」

遼真が見つけたのは、スーパーアイドル“ビタミンズ”のポスターだった。

遼真「未夢姉ちゃん!これ、ビタミンズのポスターだよね?」
未夢「ああ、そうだ!あの大人気スーパーアイドルの事だな!
   アタシ、CD何枚か持ってるし、
   友達とライブも観に行ったこともあるからな!」

そして、遼真は再びある物を発見した。

遼真「やったぁ!マミーボだ!
   ミカちゃんのマミーボ、ずっと欲しかったよ‼」

未夢は慌てて遼真に注意する。

未夢「ちょっと遼真!これ人の物かもしれないんだぞ‼」

ポイント⑧ 落ちている遺失物は勝手に拾わないように!

そして一方、地下の食品売り場で掛は食料や飲料を補充していた。

掛「よし、補充はこれでOKだ。後はレジで金とメモを置いて皆を待つか。」

そして別のフロア、遥は不安そうにデパートの探索をしていた。

遥「なんだか怖いなぁ・・・
  ボロボロになったデパートなんか気持ち悪いよぉ・・・。」

遥は緊張しながら先に進んだ。
そこの売り場に懐中電灯を照らすと
そこには棚の下敷きなっていた血まみれの店員の死体を発見した。
遥はあまりの怖さに懐中電灯を落とし、悲鳴を上げた。

カタン!

遥「い・・・い・・・いやああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!

遥の悲鳴は他のエリアに響き渡った。

掛「なんだ?」

未夢「今のは・・・?」
遼真「お姉ちゃんの声だ!」

遥は絶望して泣き崩れた。

遥「もう嫌だ!!もうこの世にいるのは嫌だぁぁぁ‼

そして、階段のところにいる掛達は・・・

掛「遥はどこにいるかわかるか?」

未夢は遥の泣き声の方に耳を傾けて・・・

未夢「3階の方にいる!」

そして3人は遥のいる3階フロアに向かった。

遥「うわぁ~んもう嫌だよぉ~!

遥が1人で泣きじゃくってると、未夢達が駆けつけてきた。

未夢「遥‼アタシ達がいたからにはもう大丈夫だ‼」

しかし、遥はまだ怯えていた。

遼真「お姉ちゃん、大丈夫だよ!もうここを出よう!」
掛「何やってるんだよ遥!怯えてる場合じゃないぞ‼
  また余震が発生したら、デパートが崩れるかもしれないんだぞ‼」

遥は泣きながら呟いた。

遥「え・・・?ぐすっ・・・本当に崩れちゃうの・・・?」
未夢「当たり前だろ!早く脱出しないと
   アタシ達天井に押し潰されるんだぞ!」

そして、未夢達は泣き崩れた遥をつまみ出した。

未夢「もう時間がない‼さぁ行くぞ遥‼
掛「急げ!急ぐんだ‼
遼真「動いてよお姉ちゃん‼

デパートの入口に木村が待ち伏せていた。

木村「いよいよ戻ってくるみたいだ。」

すると全速力で遥が木村に抱き着いた。

木村「は、遥!」

そして、未夢達も探索から戻ってきた。

未夢「木村さん、戻ってきました!」

遥は足に違和感を感じていた。

遥「あじが~いだいよぉ~!
未夢「どうした遥、足が痛いのか?」
遼真「そうだ!僕が確かめてみるよ!」

遼真が遥の靴下をめくると遥の足には傷がついていた。

遼真「お姉ちゃん!足に傷がついてる‼

その傷はデパートの階段から駆け降りるときに転んでしまったようだった。
すると、偶然避難所の医療スペースに戻る途中の少女に出会う。

少女「足に傷がついてるって言ってましたよね?」

木村は遥の事について少女に伝えた。

木村「この子の事だ!どこか落ち着かせる場所とかあるか?」
少女「あっ!近くに歌舞伎座があります。さぁこちらです。」

遥達はその少女についていき、歌舞伎座へ向かった。

歌舞伎座内部

暗い劇場内にライトを照らし本舞台いる遥達。
少女は遥傷の右足を消毒し、その傷に絆創膏を貼って手当てをした。

少女「はい、これでもう大丈夫ですよ。」
遥「はぁ・・・はぁ・・・ありがとう・・・。死ぬかと思ったよぉ・・・。」

遥は安心したせいか、疲れ果てていた。

木村「君は本当に天才だよな。」
頼子「はい!あの私、高輪医療大学教授の娘の泉頼子(いずみよりこ)です。
   高校1年生です。これから日比谷公園の避難所に戻る所でした。
   私のお父さんは今、避難所の医務係をしているので。」
掛「なるほど、お前は賢いんだな!大学教授の娘だなんて凄いもんだな。」
遼真「お姉ちゃん、まだ興奮が収まらないね。
   未夢姉ちゃん、お水あるかな?」
未夢「あぁ、水なら避難所から補充して冷やしてあるさ!」

未夢は心に傷を負ったままである遥に水を差し出した。

未夢「遥、ほら、冷たい水だ。これ飲んで、心癒せよ!」

遥はペットボトルの水を飲んだ。

遥「はぁ・・・ありがとう。少し心も落ち着いてきた。」
頼子「良かったですね。あなた達は何をしてたんですか?」
掛「俺達は、さっきのデパートで
  いろいろ補充するために探索してたんだ。」
頼子「なるほど、これは大変でしたね。」

遼真が懐中電灯で歌舞伎座内部を見回していると

遼真「歌舞伎座の中ってとても凄いなぁ~!
   あそこからはお客さんもいっぱい来てそうで
   なんだか僕達、ステージにいるみたいだよ!」
頼子「ええ、私達がいるのは本舞台にいるんです。
   本来なら歌舞伎役者さんが演劇をされております!」
未夢「まぁ、電気も止まってるから暗くて見えにくいけどな。」
木村「あぁ、歌舞伎か!復興が終わったら、
   またここで歌舞伎ができるようになるんだな!」
頼子「はい!そうですよね。それではここを出て、
   避難所に戻りましょうか。」
遥達「ハイ!」

しかし、ここから東京に思わぬ悲劇が襲い掛かってしまうのだった。

気象庁本庁

気象庁職員が日本列島の状況確認すると
富士山に噴火していることに気づいた。

気象庁職員「あっ・・・‼≪《た、大変です‼只今の静岡と山梨で
      震度7の地震による誘発で富士山が噴火しています‼
      直ちに国民に避難要請をお願いします‼》≫」

気象庁の職員らは富士山が噴火しているのを騒然としていた。

(のち)に、富士山の火山灰は首都圏へと降灰していく。

ポイント⑨ 巨大地震はマグニチュードの大きさにより
      地震を誘発することもある。
      宝永地震や東日本大震災等でも同様のケースで発生しており
      東海地方の場合、揺れが強いと
      富士山が大噴火するケースもある。
      大規模地震が発生すると火山活動が
      活発化することも珍しい事ではない。
      また、熊本地震が発生した直後には
      阿蘇山の爆発噴火も発生している。
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登場人物紹介

平井 遥 ひらい はるか


誕生日:2011年(平成23年)9月1日  身長:156㎝ 年齢:13歳(令和7年5月時点)


本作の主人公。東京都豊島区の巣鴨に住むごく一般的な中学2年生で手芸部員。

その年のゴールデンウィークに家族全員で大阪万博に行くはずだったが

その前日、買い物から帰宅する時に巨大地震が発生してしまったことで

被災者としての生活をする羽目になる。性格はやや控えめで、気が細い。

平井 遼真 ひらい りょうま


誕生日:2016年(平成28年)10月16日 身長:130㎝ 年齢:8歳(令和7年5月時点)


遥の弟で小学3年生。ゲームとスポーツ好きで運動が得意。

性格は強気で好奇心旺盛。友達の家によく遊びに行ったり、公園でよく友達と遊んでいる。

巨大地震が発生した時は友達と広い公園にいたため、難を逃れていた。

そして、友達と共に国立競技場に避難した後、姉の遥と再会して、

その後、未夢達と共に交流を始める。

武沢 未夢 たけざわ みむ


誕生日:2009年(平成21年)3月11日 身長:163㎝ 年齢:16歳(令和7年5月時点)


避難先の国立競技場で出会った高校2年生で目黒区在住。

両親は共働きで家を空けがちであるため、いつも1人でいることが多い。

巨大地震が発生した際、原宿で買い出しに出かけていたため、避難を促された挙句

国立競技場に避難した際、両親のいない平井姉弟の姉代わりとして、交流に加わる。

見た目はちょいワルだが、助け合いや人づかいには気が優しい。

道野 掛 みちの かける


誕生日:1995年(平成7年)7月26日 身長:170㎝ 年齢:29歳(令和7年5月時点)


避難先の檜町公園で出会った孤独な青年で長野県出身。

小学生の頃に両親を交通事故で亡くして家を転々としながら生活していたため

誰も信じられないまま成長していった。

高校卒業後は上京してフリーターになったが、最近になると仕事が見つからなくなり

古い新聞や雑誌を拾って売る生活をしていたが

巨大地震発生後に子供を救出した事で人生を大きく変えることになる。

そして、他の避難所から避難して来た遥達に出会ったことで。人との交流ができるようになった。

木村 壮一 きむら そういち


誕生日:1984年(昭和59年)10月14日 身長178㎝ 年齢:40歳(令和7年5月時点)


遼真が通う小学校のクラスの担任教師であり、全クラスの体育の担当をしている。

巨大地震発生後に日本武道館に避難していたため、同じく避難していた

遼真率いるその姉である遥達と共に倒壊した東京タワーの様子を見に行かせる等の交流を始める。

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