第四章「倒壊」

文字数 1,979文字

あの巨大地震から数日が経過した。
関東地方で発生した令和史上最悪の大震災で、
死者6万4000人、避難者数2700万人、帰宅困難者1000万人を超えてしまい、
経済損失も以前よりも大幅に増していた。
住宅街の火災旋風により、首都圏は日傘効果状態となり、
雨が降れば、酸性雨になることもある。
関東は未だ、復興の見通しは立っていない。

日本武道館

ある日、遥は部活で作った手芸作品を未夢に見せてもらった。

遥「未夢さん、これ全部私の部活で作ったんです。」
未夢「うっはー!すげーな!遥ってこんな物も作れるんだ!」

偶然通りかかった女性も感激していた。

女性「あら、あなたお上手ね。」
遥「あ、実は私、中学で手芸部をやっているんです!
  これらの物は全部、巣鴨のお祭りや即売会で販売しています!」
女性「まぁ~あなたって本当に天才よね!」

すると突然、武道館内部で揺れを感じた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

女性「あら?」

すると、内部で強い余震が発生した。

ゴオオオオオオオオオオオオ

武道館内部では避難者の悲鳴が響いた。

避難者「ウワアアアアアアアア‼
避難者「キャアアアアアアアア‼

未夢「皆‼体を伏せろ‼

すると未夢のポータブルテレビから速報が流れてきた。

キャスター「今、新しい情報です!
      東京タワーが強い揺れによって倒れていきます!」

遼真「見て!東京タワーが!」

3人が東京タワーの状況を見ると

未夢「あっ!」

すると東京タワーが崩れ倒れて、その周りにいた人達の悲鳴が響き、

テレビの映像

周囲の人々「ワアアアアアアア‼

ガチャーン!

ハトがたくさん飛んでいった。
そして、揺れが収まった後————

その映像観た未夢は騒然した。

未夢「これは・・・大変な事になってる‼

そんな未夢は、遥と遼真を連れて東京タワーの様子を見に行くことにした。

未夢「アンタ達そろそろ行くぞ!東京タワーがまずいことになってる!」
遥・遼真「うん!」

3人は日本武道館を飛び出して行ってしまった。

係員「あっ‼君達!待ちなさい!」

ポイント⑥ 東京タワー等が倒壊しても様子を見に行かないように!

そして、遼真は同じく武道館に避難していた
小学校のクラスの担任である木村壮一(きむらそういち)先生
東京タワーの様子を見てもらうように頼んだ。

遼真「木村先生!東京タワーが大変なことになってるから、
   僕達、その様子を見に行きたいんだ!」
木村「遼真!お前もここに避難してたのか!
   それで、お父さんとお母さんは?」
遼真「地震起きた時広い公園にいて
   友達と一緒に競技場に避難したから
   どこにいるかはわからない!でも僕には
   お姉ちゃんと未夢姉ちゃんがいるから!」   
木村「わかった!東京タワーの方か!
   ちょっとだけ様子を見るだけならいいぞ!」

そして3人は武道館を離れ、木村のバンに乗り、
倒壊した東京タワーに向かった。
皇居の前の通りもボロボロになっていた。

未夢「あの、東京タワーまでどれくらいかかりますか?」
木村「まぁ行ってみないとわからない!とにかく東京タワーに向かおう!」

そして遥達は、バンで倒壊していた街を通り、
倒壊した東京タワーに向かった。

東京タワーの近くに着いた遥達は東京タワーの状況を見ると・・・
遥達は騒然としていた。

未夢「あっ・・・!

東京タワーはへし折れて横向きになって崩れ倒れていた。

遥「東京タワーが・・・」
遼真「こんな事になっちゃうなって・・・」

そして、木村が3人に先程のバンに戻るように促した。

木村「もうこれでいいだろ!ここで被害に遭われたら困るから
   君達も車の中に戻るんだ!」
遥「はい・・・。」

そして、遥達は再びバンの中に戻り、次の避難所に向かった。

木村「3人とも東京タワーはどんな感じだったか?」
未夢「はい!さっきテレビで東京タワーが倒壊する映像を観ました!」

遥と遼真は落ち込んでしまった。

遼真「何度か行ったことあったのにな・・・。」

遥は涙ながらにこう呟いた。

遥「長年続いたシンボルが・・・もうなくなってしまうなんて・・・」

遼真は崩壊していた街を眺めて呟いた。

遼真「平和な日常に戻って間もないのに東京があんな風になるなんて・・・」

更に、遥と未夢も崩壊した東京の事を呟いた。

未夢「今までアタシが遊び回ってた所も、ほとんど台無しだな。」
遥「こんなの私達が住めるような街じゃないよ・・・。」
木村「まぁ、その気持ちはわかるさ、
   とにかくもっと安全な場所に行こう!」

遥達は木村にある所に案内された。

木村「よし、ここだ!」

遥達がたどり着いたのは檜町公園(ひのきちょうこうえん)。ここも避難場所として使われている。

遥「ここって公園?」
木村「“檜町公園”だ!ここなら余震が来ても大丈夫そうだ!」

するとそこへ、1人の孤独な青年が現れた。

青年「お前ら、無事だったんだな・・・。
   ちょっと俺のテントに入って話を聞かせたいんだけど・・・。」

遥「え?」
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登場人物紹介

平井 遥 ひらい はるか


誕生日:2011年(平成23年)9月1日  身長:156㎝ 年齢:13歳(令和7年5月時点)


本作の主人公。東京都豊島区の巣鴨に住むごく一般的な中学2年生で手芸部員。

その年のゴールデンウィークに家族全員で大阪万博に行くはずだったが

その前日、買い物から帰宅する時に巨大地震が発生してしまったことで

被災者としての生活をする羽目になる。性格はやや控えめで、気が細い。

平井 遼真 ひらい りょうま


誕生日:2016年(平成28年)10月16日 身長:130㎝ 年齢:8歳(令和7年5月時点)


遥の弟で小学3年生。ゲームとスポーツ好きで運動が得意。

性格は強気で好奇心旺盛。友達の家によく遊びに行ったり、公園でよく友達と遊んでいる。

巨大地震が発生した時は友達と広い公園にいたため、難を逃れていた。

そして、友達と共に国立競技場に避難した後、姉の遥と再会して、

その後、未夢達と共に交流を始める。

武沢 未夢 たけざわ みむ


誕生日:2009年(平成21年)3月11日 身長:163㎝ 年齢:16歳(令和7年5月時点)


避難先の国立競技場で出会った高校2年生で目黒区在住。

両親は共働きで家を空けがちであるため、いつも1人でいることが多い。

巨大地震が発生した際、原宿で買い出しに出かけていたため、避難を促された挙句

国立競技場に避難した際、両親のいない平井姉弟の姉代わりとして、交流に加わる。

見た目はちょいワルだが、助け合いや人づかいには気が優しい。

道野 掛 みちの かける


誕生日:1995年(平成7年)7月26日 身長:170㎝ 年齢:29歳(令和7年5月時点)


避難先の檜町公園で出会った孤独な青年で長野県出身。

小学生の頃に両親を交通事故で亡くして家を転々としながら生活していたため

誰も信じられないまま成長していった。

高校卒業後は上京してフリーターになったが、最近になると仕事が見つからなくなり

古い新聞や雑誌を拾って売る生活をしていたが

巨大地震発生後に子供を救出した事で人生を大きく変えることになる。

そして、他の避難所から避難して来た遥達に出会ったことで。人との交流ができるようになった。

木村 壮一 きむら そういち


誕生日:1984年(昭和59年)10月14日 身長178㎝ 年齢:40歳(令和7年5月時点)


遼真が通う小学校のクラスの担任教師であり、全クラスの体育の担当をしている。

巨大地震発生後に日本武道館に避難していたため、同じく避難していた

遼真率いるその姉である遥達と共に倒壊した東京タワーの様子を見に行かせる等の交流を始める。

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