序章「本震」

文字数 1,916文字

2025年(令和7年)————————
東京オリンピックの開催から4年。
日本は新型コロナウイルス流行の完全終息を経て
今まで通りの日常へと戻っていった。
日本各地では再開発が進み、
この年には大阪万博が開催され日本は万博一色により全盛期を迎えていた。
(のち)に、この東京で大震災が起こるとは
知る(よし)もなかった。

東京・巣鴨

ゴールデンウィーク前日の巣鴨中学校の放課後。

幹「またね~ハルちゃん!」
遥「それじゃあ またね!幹!」

私の名前は 平井遥(ひらいはるか)
東京都の巣鴨に住むごく一般的な中学2年生。
明日からゴールデンウィークか
来週の日曜日から3日間家族みんなで大阪万博に行くの!

遥「はぁ~楽しみだなぁ~大阪万博♡」

そう呟いていた遥は万博を楽しみにして下校した。

遥「さぁ、家に帰って旅行の準備でもしようっと!」

そして帰宅後、遥の自宅。

遥「ただいま~」
芳子「あらお帰り、遥。」
信介「父さんも旅行の計画で、仕事から早く帰ったからな。」

父親の信介も旅行の計画で仕事から帰宅していた。
そして、テレビでは大阪万博の中継映像が流れていた。

アナウンサー「55年ぶりに開催されている大阪万博には
       50万人以上が来場しています!」
遥「うわぁ~やってるやってる!あさってから
  万博に行くのとっても楽しみだよ~!」

遥は大阪万博の中継映像を観て嬉しそうだった。

遥「そうだ!遼真にも見せなくちゃ!
  お母さん、遼真は?」
芳子「遼真なら2階の自分の部屋にいるわよ。」
遥「うん、ちょっと呼んでくるね!」

それを弟の遼真(りょうま)にも見せようと、私は弟の部屋に入ったが、

遥「遼真、帰ったよ~」

ピコピコピコ

遼真「うわっ!お姉ちゃん!」

弟の遼真は小学3年生。大のゲーム好き。
強気な性格で、友達の家によく遊びに行くことがある。

遥「テレビで大阪万博やってるよ!観ないの?」
遼真「今ゲームをやってる最中だよ!もう少しでレベルアップなのに!」

遼真は大阪万博のことどころか、PS5でアクションゲームをしていた。

遥「全くうちの弟はうちほんと無意識なんだから!」

遥は呆れてしまった。
するとゲームオーバーとなってしまい遼真が腹を立ててしまった。

遼真「うわー!またやられたー!」

まぁ私の家族はこんなものかな。

しかし、このような私達の日常は
長く続くことはなかった。

その翌日、私は地蔵通り商店街で買い物を済ませて
帰宅するときの事だった。
その時、私はその場でLINEでやり取りをしていた。

「今、地蔵通り商店街にいる。」
「明日からの大阪万博楽しんでいってね!」
「おみやげ、よろしくね~!」
「うん、わかったよ!行ってくるね!」
だが、LINEで友人と母親とのやり取りを済ませた途端・・・。
東京都内ではハトやカラスなどの大群が飛んで。
更には商店街に揺れを感じ・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

遥「え、何?地震?」

遥のスマホには緊急地震速報の通知と音が鳴って

ブーッ!ブーッ!

そして遂に・・・

ドーーーーーーーン‼

更に、揺れが強くなり、商店街に物凄く大きな地震が発生した。

通行人達「わああああああああああああああああああ‼

その巨大地震は東京都内に広がり

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼

年季の入ったビルも倒壊し

通行人「ワアアアアアアア‼

ガシャーン!

デパートの窓ガラスも損壊し

パリン!バリバリ!ガシャン!ギャバーン!

新宿の高層ビルや浅草の雷門、渋谷のスクランブル交差点も
揺れがさらに増していた。

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ‼

巣鴨の地蔵通り商店街も電線が折れたり、
品物が吹き飛ばされたり、建物が倒壊するほどの
非常に強い揺れを感じた。

ガシャン!ドシャン!パリン!ガチャーン!

遥は身を守りながら叫んだ

遥「キャァーーーーー‼

そして、店の看板も落ちてきた。

ガラガラガッシャーン!

そして、数分後・・・
倒壊した瓦礫の周りに、横向きになって倒れ込んでいる遥
そして、遥は目を覚ますと・・・

遥「あれ・・・?私、助かったかな?」

その場で立ち上がり、その辺りの様子を見てみると

遥「あっ⁉

巣鴨地蔵通り商店街は変わり果てていた。
その地震で吹き飛ばされた品物や倒壊した建物で
すっかりボロボロになった。
中には倒壊した建物や落ちてきた看板の下敷きになり数十人が死傷したり、
その瓦礫や破片に当たり、脳挫傷や骨折、血を流してる人も大勢いた。
更には周囲の人達から避難を呼びかける声も響いていた。

男性「早く避難した方がいいぞ‼
大学生「お前そこで何立っているんだ!
    後で余震が来るかもしれないんだぞ!」

遥は間一髪致命傷を逃れたが、
東京で巨大地震が起きたことにざわついていた。

遥「ウソでしょ・・・これが、私達の街・・・⁉」
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登場人物紹介

平井 遥 ひらい はるか


誕生日:2011年(平成23年)9月1日  身長:156㎝ 年齢:13歳(令和7年5月時点)


本作の主人公。東京都豊島区の巣鴨に住むごく一般的な中学2年生で手芸部員。

その年のゴールデンウィークに家族全員で大阪万博に行くはずだったが

その前日、買い物から帰宅する時に巨大地震が発生してしまったことで

被災者としての生活をする羽目になる。性格はやや控えめで、気が細い。

平井 遼真 ひらい りょうま


誕生日:2016年(平成28年)10月16日 身長:130㎝ 年齢:8歳(令和7年5月時点)


遥の弟で小学3年生。ゲームとスポーツ好きで運動が得意。

性格は強気で好奇心旺盛。友達の家によく遊びに行ったり、公園でよく友達と遊んでいる。

巨大地震が発生した時は友達と広い公園にいたため、難を逃れていた。

そして、友達と共に国立競技場に避難した後、姉の遥と再会して、

その後、未夢達と共に交流を始める。

武沢 未夢 たけざわ みむ


誕生日:2009年(平成21年)3月11日 身長:163㎝ 年齢:16歳(令和7年5月時点)


避難先の国立競技場で出会った高校2年生で目黒区在住。

両親は共働きで家を空けがちであるため、いつも1人でいることが多い。

巨大地震が発生した際、原宿で買い出しに出かけていたため、避難を促された挙句

国立競技場に避難した際、両親のいない平井姉弟の姉代わりとして、交流に加わる。

見た目はちょいワルだが、助け合いや人づかいには気が優しい。

道野 掛 みちの かける


誕生日:1995年(平成7年)7月26日 身長:170㎝ 年齢:29歳(令和7年5月時点)


避難先の檜町公園で出会った孤独な青年で長野県出身。

小学生の頃に両親を交通事故で亡くして家を転々としながら生活していたため

誰も信じられないまま成長していった。

高校卒業後は上京してフリーターになったが、最近になると仕事が見つからなくなり

古い新聞や雑誌を拾って売る生活をしていたが

巨大地震発生後に子供を救出した事で人生を大きく変えることになる。

そして、他の避難所から避難して来た遥達に出会ったことで。人との交流ができるようになった。

木村 壮一 きむら そういち


誕生日:1984年(昭和59年)10月14日 身長178㎝ 年齢:40歳(令和7年5月時点)


遼真が通う小学校のクラスの担任教師であり、全クラスの体育の担当をしている。

巨大地震発生後に日本武道館に避難していたため、同じく避難していた

遼真率いるその姉である遥達と共に倒壊した東京タワーの様子を見に行かせる等の交流を始める。

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