第10話 2ndミーティング

文字数 898文字

さきちゃん、話ってなに?
またわたしへの愛を語ってくれるのかな、うれしいな!

あー、うん、そうそう、今日もかわいいよ。

何よ、その取って付けた様な…

さては、また献立帳のダメ出しね。
ダメ出し返しで受けて立つわよ。

うん、そのお、や、やっぱりさ、

何?はっきり言わないとわかんないよ。

ペーパー…

ん?ティッシュならそこにあるよ、早くイッてよ。

ちが、あ、うっ。
夫婦漫才みたい、っていうかさ、ぺーぱーさんみたいな…

あら?そういう趣旨じゃなかったの?

うーん、趣旨かあ、しゅし、シュシ、シュッシ!
あー、愛はあります。品質もあります。足りないのはお金だけなんです。どんな形であれ、お金がないと続けていけません。せっかく少しずつ、相思相愛から喧嘩したりいちゃいちゃしたりして一緒に作り上げていく人間関係そのものの生業が成立しかけて来てるんです。少ないけれども、それでも今これだけのお客様が僕のこの店を大切に想い、ここでの時間を楽しんでくれてるのだから、きっと、まだまだ1000人に、いや、一万人に、いや、一億人にひとりくらいは居ると思うんです。そのお客様と縁を作るには、何より継続がいちばんでございます。金貸してくれ、あ、違った、ご出資いただけないでしょうか?損はさせません。金銭においては損させてしまうかもしれませんが、きっと心は豊かにして差し上げます。金銭だって、そうしてるうち、そのうちに…一円でも、100万円でも、あなたの想いに応じて、出資を、シュッシ、しゅし…

よよよよ、ん、あー趣旨ね。

(あー壊れちゃったかと思ったわ。そこナイーブだから、少しでもお金を連想する事はNGワードね。気を遣わせるのね、かわいい!)

ん、まみちゃん、どうした?うっとりして。

まあ、とにかくそういう事だから、良いね?
頼むよ。

嫌だわ、さきちゃんの嫌いな世間からしたらわたしたちはバカ夫婦なんだよ。
わたしがあっち向いてた時は必死に振り向かせようとしてたのに、いざ振り向いたら何ビビってんのよ。
きんたま付いてんのかっ!

もう夫婦じゃないじゃないか。
それにキンタマって、お下品な。
せめてタマキンって言おうね。
ここに付いてるけど、見るかい?

見るかいボケ!

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