第2話

文字数 714文字

眠りから冷めると、また別の部屋にいた。
そこで、あぁ、夢を見ていたのか。と改めて気がつく。
あの部屋が現実にあるとしたら、だいたいどの辺かまで検討がつくので、少し変な気分になる
以前その前まで行ってみたら、もちろんその家は無くて、安心さえした。

あの夢の中で、部屋の壁にごめんなさいと置き手紙をしていた母のことを思い出して
携帯に手を伸ばした。

「もしもし?どうしたの?電話なんて珍しい」

久しぶりに聞く母の声
どうしたの?なんて聞かれて、それはこっちのセリフと思った私の方がおかしい。

「いや、夢にお母さんが出てきたの。何かあった?元気にしている?」

私は率直に聞いた

「何かあったって?それはこっちのセリフよ。でも...あなたに連絡しようと思っていたんだけれどね、何だか理由は無いけどなんとなく連絡出来なかったの、ごめんね。」

と、母は言った。

「そう、何も無いならいいの。」

「元気に過ごしているなら安心した。何かあったら、いつでも連絡してきなさいね、」

ごめんなさいってどうして?という言葉は飲み込んで、電話は終わった。

あの夢で見た家は、
私が疲れている時とかに帰る場所で、特に疲れが酷い時なんかは、夢の中の家が大荒れだったりする。
そんな時、あの管理人さんはある程度私の部屋を掃除してくれていたりするのだけど。

セーフハウスなのかなと思ったりもするけれど、説明が難しい不思議な現象。
誰かに話したとしてきっと理解はされないだろうから、話したことは無い。
そういうことって、誰にでもあることなのかしら?

頻繁に見るしあまりにもリアルだから時々本当に錯覚して、起きている時にも、今日はあの家に帰らなくては。と無意識に考えて、ハッとする。
私の家はあそこではないのだ。
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