第3話 隣人の恋

文字数 1,055文字

小さな町に住む、あいりとはるとがいました。

あいりは幼稚園生の5歳で、はるとは保育園生の5歳でした。

ふたりは幼なじみで、隣同士の家に住んでいました。

ぎゅうぎゅうに詰まった家たちの間には隙間がありました。

ふたりはそれを利用して、秘密基地を作ることにしました。



はると「あいり、秘密基地をつくろうぜ!」

あいり「いいアイデア!どこに作るの?」

はると「おれらの家の間だよ。」

あいり「わかった!」

はると「困ったことがあったら、ここにきて助け合おう、

あいりが困ったことがあったら俺が助けてやる」

あいり「うん、わかった!」



家の間にトタンの屋根や段ボールを持ってきたり、

古いクッションを持ち寄り、居心地の良い場所を作りました。



秘密基地は、お宝さがしごっこのアジトとして主に使われたりしました。

小学校になると、お互い、夢を打ち明けたり、お互いの友だちを連れてきたりして

秘密基地は大活躍をしました。



中学になるころには、すっかり秘密基地は親たちに取り壊されて、ふたりは距離が離れてしまいました。

あいりも、はるとも、学校生活や部活で忙しくてすれ違ってばかりでした。




ある日、忙しい日々の中で、あいりは、大きな悩みを抱えていました。

そしてふと、はるとを思い出して、秘密基地があった場所にひとり座りました。

「もう、忘れちゃったかな・・・あはは、もうずっと前の話だもんね」

そのまま、あいりは疲れていたのもあって寝てしまいました。

ふと起きると、毛布がかかっています。



あいり「?はると?」

目の前には、はるとが座っていました。

はると「どうしたんだよ、あいり。大丈夫か?」

あいり「はると、どうしてここに?」

はると「家の窓から、あいりがいるのが見えて、来た。」

あいり「そっか。」

はると「それに、言っただろ?忘れた?」

はるとは下を向いて照れたように言いました。

あいり「・・・覚えているよ」

はるとはハッとなってあいりをじっと見ます

はると「話、聞くよ」



あいりは、悩んでいたことを簡単に話すと、はるとは一生懸命、聞きました。

はるとは優しく、あいりをはげまして、解決策を考えだすのを手伝いました。

今はもうない秘密基地。

でも、ふたりの心の中には、まだ秘密の約束をした秘密基地は、まだあったのです。

そして、秘密基地での会話が終わるころ、はるとはいいました。



「俺は、なにがあってもおまえの味方だから、また困ったことがあったら、ここに来い。」

「うん、ありがとう、はると、元気出た。」



ふたりは、えがおで握手を交わして立ち上がり、秘密の約束を守りながら,



また前に歩き続けました。
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