12章「愛情」

文字数 1,725文字

「熱意の欠如の主な原因の一つは、自分は愛されていないという感情である。反対に愛されているという感情は、ほかの何ものにもまして熱意を促進する」

・愛情(を感じる)→熱意→幸福

・しかし、愛情が熱意(何かに関心を持ったり、やろうとしたり)を促進するというのは、感覚的に何となくは分かるけど、理屈ではよく分からない。どういう因果関係だ。
「愛情のないことが彼らに不安感を与える。そして、本能的にその不安感からのがれよとして、生活が完全に習慣に支配されるのを許してしまう」
「いつもと同じ道を歩いてさえいれば外の世界と衝突することはあるまいという感情にかられて行動するからである」

・ははーん。こういうことね。

・ルーティンワーク以外に手を出すと(趣味とかチャレンジとか)、何らかの痛手を負うのではないかと恐怖している、ということか。一方で、誰かからの愛情を感じていれば、「少なくともここでは肯定してもらえる」という思いに助けられて、趣味やチャレンジを行うことができるようになる。イコール、熱意に繋がる。

「こういうすべての外的な興味の背後には、災難に出あえば両親の愛情によって守ってもらえるという感情がある」

↑子供が外の世界に関心を持つ(熱意を持つ)のは、手痛い目に遭っても逃げ込める「最低限の愛情保証」である親の存在があるため。両親の愛情を受けられない子供はそれがないので「冒険心がなくなる恐れがある」らしい。
・他で肯定してもらえていれば、新しいことにもチャレンジできるってのは、勝ってるやつはさらに勝ち続ける、幸せなやつはさらに幸せになりやすい、ってことだな。うわあ、ざんこく。
・幸福論の理屈を知るとガッカリして不幸になる人が出てきそうなくらい、ざんこく!
「すなわち親になることである。性的な愛をかきたてることができないとすれば、それは、いかなる男女にとっても重大な不幸と言わなければならない(中略)まずまちがいなく、早晩熱意が失われ、内向性が生じる」

・熱意の失われる原因がまた一つ出てきたけど、ここでの「愛情」が子への愛なのか、性的なパートナーに対する愛なのか、よく分からない。
「最上のタイプの愛情は、相互に生命を与えあうものだ。おのおのが喜びをもって愛情を受け取り、努力なしに愛情を与える。そして、こうした相互的な幸福が存在する結果、おのおのが全世界を一段と興味深いものと感じる」

・この因果関係も、やや、よく分からない。

・文脈的には、愛情を与えあう(=最低限の保証により相手の恐怖を減じる)ことにより、熱意が促進される(恐怖を感じている時は世界への興味を抱けないため)、ということか?

・これが真だとすれば、結婚は社会規範に乗っかることでの安心感とか、「それっぽいイベント」に付随する幸福ポイントというだけではなく、結婚の結果として熱意を促進するということになる。

・でも、こんな認識を持っている人はほとんどいないんじゃなかろうか。もしかしたら無意識下ではそうなのかもしれないけど、おれだって、妻のおかげで仕事とか趣味をめちゃくちゃエネルギッシュにできてるなんて意識してない。というか、「結婚したら妻にフィギュアを捨てられた」とか、むしろ熱意を奪われる方向のイメージが強い気がする(おれの妻ちゃんはよくできた妻ちゃんなのでそんな悪いことはしません)。

・どうしよう。面白い議論だけど、あまりに肌感覚と懸け離れすぎててリアリティがない。
次は13章「家族」。
愛に関しては、優等生的な方が書き留めると、こんなものじゃないっすかね~?
とくに面白いこと言ってるわけではないと思うので、誰が読んでも記憶に留まるような項目じゃない気がします。ここ自分は流し読みしてしまうかもです。
幸福だけでもあいまいでよく分からないのに、「愛」まで絡むと結構辛いっすね。
でも、「しあわせなやつは更に幸せになる」という確変的な要素はゲーム的に楽しいので、そこで愛というファクターを採用できるならアリかもしれません。説明が難しそうだけど。

「幸福ポイントを稼いだやつはさらに幸福ポイントを稼ぎやすくなるんです。隠しパラメーターの「愛」ってのがあって、これが実は「やる気」に大きく影響してるんですけど……」

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登場人物紹介

架神恭介


実用書、小説、漫画原作などを手がける作家。今回は実用書の執筆のための準備段階としてラッセル幸福論を読む。

ひどいときは一冊書くのに二年勉強したりするので、全然儲からない。でも今回はサクッと書く予定。

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