第7話 転校生の子

文字数 1,915文字


 僕とムラ村さんは、なんでかわからないが、結ばれることもなく、ただただ時が過ぎるのであった。
 
「なぜだ! 絶対、ムラ村さんは僕に惚れているはずなのに……」

 そんな風に思っているだけで、行動にはなかなか移せない。
 気がつけば、進級の時期になり、四年生になっていた。

 もちろん、ムラ村さんは、僕とまた同じクラスだ。
 良かったぁ。これだけ、時間があれば、今年中には彼女を落とせそうだ。

 僕が住んでいた地区は、とにかく引っ越しの多い家庭が集まっており、年中生徒が出たり入ったりが、日常茶飯事だ。
 意中の人である、ムラ村さんは、地元民なので、無問題。
 
 そんな時、クラスに一人の少女が転校してきた。

「こんにちは! 仙台から来ました、背伸(せのび) たか子です!」

 背伸さんは、かなり身長の高い女の子、スラッと細い体型、脚もかなり長い。
 モデルさんみたいなキレイな人だった。
 クラスのみんなが、「おぉ!」と思わず、声をあげるほどだ。

 いらない情報だが、僕も当時、身長がかなり高い方だった。
 クラスでも後ろから2番目ほど。
 その僕よりも、背伸さんは身長が高い。

「キレイな子だなぁ~」

 そんな風に思いながら、僕は鼻をほじって、彼女を見つめる。
 正直言って興味がなかった。
 なぜならば、僕は自分より身長の高い女の子は、あまり好みではなかったからだ。

 それを見ていたムラ村さんが、僕にキレる。

「ちょっと、童貞! 転校生が挨拶してんだから、鼻をほじるのやめるんだぎゃ!」
「え……?」
「童貞って、鼻くそイスの下にくっつけてんの、知ってんだぎゃんね!」
「ちょ、ちょっと……ムラ村さん、そんなウソはやめてよ」

 きっと、チビのムラ村さんは、モデル体型の背伸さんに嫉妬していたのだろう、たぶん。

 だが、背伸さんが転校してきてから、よく担任の教師に言われて、タッグを組まされる事が多かった。
 僕と彼女の身長がほぼ一緒だったし、割とのほほんとした性格だったから、先生が僕たち二人を気に入っていたのだと思う。
 なにか用事があると……。
 
「あ、職員室までこの書類をお願いね、童貞くんと背伸さんがいいわ」
 
 またかと思い、背伸さんと並んで廊下を歩く。

 隣りがムラ村さんなら、別なのだが、テンション低めで、鼻をほじる。
「ふわぁ~ めんどくさ~」
 背伸さんが言う。
「ねぇ、童貞くんってさ。名古屋の人じゃないの?」
「え? なんで?」
「なんか標準語だからさ」
「まあね~」

 ある日、教室で風邪が流行ってしまい、何人かの生徒が休んでいた。

 体育の時間、僕と背伸さんに相手がいなかった。
 すると、それを見た先生が言う。
 
「童貞くん! あなたが背伸さんと一緒にやりなさい!」
「えぇ……」

 というのも、今日の授業は、逆立ちだったから。
 運動場で行われ、一人が地面の上で逆立ちをし、相方が足を掴んで支えてあげるというもの。
 だが、しかしだ。
 背伸さんは、女子。つまりブルマを履いている。

 なんてこった!
 人生で初めて、女の子の肌に触れる機会が出来るなんて……。
 でも、僕はこう見えて紳士だ。
 女の子が嫌がることはしたくない。

「背伸さん、無理しなくていいよ」
「ううん。童貞くんとはいつもコンビ組まされているし、私は全然気にしないから」

 そう言って、快く先生の提案を受けいれるのであった。

  ※

「う、うぅん……」
「くっ……」

 思ったより、背伸さんの身体は重たかった。
 脚が長いし、持ちづらい。

「うぅん……童貞くん、しっかり持ってよぉ。倒れたら嫌よ」
「あぁ、わかってるよ」

 その時だった。クラスの誰かが叫ぶ。

「童貞くん、エロい目で見ていない!?」

「ええ!? み、見ていないよぉ!」
 
 なるべく、下を見ないようにしていたというのに、酷い言いがかりだ。
 振り返って、反論しようとした瞬間、バランスを崩す。

「ちょっと! 童貞くん! た、倒れちゃうって! しっかり持ってよ!」
「あ、ごめん」
 姿勢を戻して、彼女の細い脚をギュッと掴みなおす。
「しっかりこっちを見て集中してよね!」
 言われて、つい下を見てしまう。

 そこには、初めて見る素晴らしい光景が……。

 零距離で、女の子の股間を目にするのは、生まれて初めてだった。
 紺色のブルマ、ちょっと毛玉が出来ている。
 特出すべきは、ブルマからはみ出た白いパンティー。

「ちゃんと、私を見て集中してよね、童貞くん!」
「ああ……わかってるよ……」

 いつもバディーを組ませられているとはいえ、ここまで僕に全てを見せる必要性があるのだろうか?
 その後も僕はずっと背伸さんのビキニゾーンを、しっかり集中してガン見していた。

 くっ! 罪深い男だ。
 間違いなく、この子、僕に惚れているなっ!
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