第2話 恥じらいがない子

文字数 880文字

 昭和末期、バブル世代。

 なんともけしからん遊び……というより、今では犯罪と呼べる所業が流行っていた。

 それはスカートめくりというものである。
 もちろん、僕は誓ってやったことはない。
 犯罪だし女の子を泣かせることは嫌いだ。

 だから、なにもしない……そうしないだけだ。

 つまり誰か他の男の子がいきなり、スカートをめくっちゃうなんて時は、まあアクシデントとして、眼球に焼きつけちゃう便乗タイプ。
 ムッツリな5歳児。

 ある日、近所のガキ大将、ガッキーくんが、同じマンションの女の子を見つけては、スカートをバシバシめくっていった。
 泣く子が大半で、逃げ去っていくのであったが、一人だけ例外がいた。

 ガッキーくんより少し年上の女の子で、気が強い子だった。
 名前は、とし子ちゃん。
 当然ガッキーくんは、とし子ちゃんを見るなり「やりぃ~ とし子のパンツもゲット!」と叫んで、スカートをめくった。
 とし子ちゃんは一切ひるまず、スカートをめくられても、腕を組んで鼻で笑う。
 なぜならば、彼女が履いていたのが、紺色のブルマだったからだ。

「パンツじゃないから恥ずかしくないもんねぇ~」
 あっかんべぇして、煽るとし子ちゃん。
「お、覚えてやがれよ!」
 女子をたくさん泣かせてきたガッキーくんも、とし子ちゃんには敵わなかったというわけだ。

 残ったのは僕と、とし子ちゃんの二人。

「あれ、童貞くんもスカートめくりしたかったの?」
「いやいや、僕はそんなことしないよ!」
「だよねぇ~ 童貞くんってそんな子じゃないからね。ただ残念、小学生になるとブルマがあるんだな~」

 そう言って、スカートを自分からめくりあげるとし子ちゃん。
 確かにブルマは下着ではない。
 だからといって、女の子がそう易々とスカートをめくっていいものだろうか?

「は、恥ずかしくないの?」
「全然! だってブルマだもん!」
「そ、そっか……」
 その間もずっとスカートをめくったままで、僕の眼前には紺色のブルマがある。

 まさか!? パンツじゃないとはいえ、こんなに長時間、股間を見せつけるなんて!

 この子、僕に惚れているのかもしれない!?
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