第4話 一日の流れも説明しよう

文字数 901文字

おにぎりか何かわからないものを完食した田中さん。パソコンを立ち上げて、メールチェックから始めた。自身の担当案件の補正指示とか、受付の通知が入っているかどうかを見ているのだろう。

新規問い合わせが来ていることもある。新規問い合わせへの返信は、田中さんの担当だ。「お問い合わせありがとうございます。面談で詳しい話をお聞かせください。初回面談は50分まで無料です。ご都合はいかがですか。」新規問い合わせへのメール対応はだいたいこんな感じだ。これ以上の内容は、なかなか返せない。詳細もわからないし。

当事務所の営業時間は9時~18時、この時間以外の電話もつながることはつながるが、私の携帯電話に転送されるようになっているので、出られないことがある。ちなみに定休は土曜日午後と日曜日・祝日と水曜日だ。

私の方は、9時少し前から電話が入るのがわかっているので、急いで机や椅子の周りをさっと掃除する。電話対応がそもそも苦手で、電話をしながら何かをするというのがどうにも性に合わない。アルバイトに掃除やお茶出しをさせるという手もあるのだが、うちの事務所の場合は、やれる人がやっている。

一日の流れとしては、
午前中が、出勤、メールチェック、書類作成。昼ご飯は適当に私がつくって、田中さんと一緒に食べて、午後から市役所や、運輸支局や、警察署を回る。田中さんは、オンライン申請と近場の役所を、私は遠くの役所だとか、資格者でないと対応できないところを回る。そうこうしているうちに18時くらいになって、一日が終了。

15時くらいになると、息子が学校から帰ってくる。うちは、事務所兼用住宅なので、事務所に子どもが帰宅する風景がある。田中さんは近場を回っているので、息子が帰ることにはだいたい田中さんが居て、小学校の話などを聞いてくれていたりする。

ピロピロピロ・・・・

8時57分だが、早速電話が鳴った。
「おはようございます。かずきよ行政書士事務所です」
田中さんがでてくれた。が、少し様子が変である。
「え・・・ええ。所長ですか?居りますが、かわりましょか?え、私で良いの・・・・」
訳がわからない感じになっているので、ちょっと代わってもらおうか。
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登場人物紹介

井手一清(38歳)。かずきよ行政書士事務所所長。息子と猫とのんびり暮らしている。

妻とは2年半にわたる調停をしたあとに、離婚。

係長という名前の猫(5歳)。気が向くと人間の女に化ける。

政行(7歳)。小学1年生。一清の息子。

バイトの田中さん(20歳)。滋賀商業高校卒業。働きながら通信制大学に通っている。

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