第34話 呪術師
文字数 1,212文字
「あれ、ここは?」
古代史研究会の三人がいる場所の後ろ側から声がした。
「みんな!」
その声を聞いて三人が振り返る。
「弥生!」
なんと、やって来たのは弥生と藤原だった。
信二、金次郎、伊代の三人と、弥生と藤原の二人が驚いた表情でお互いの顔を見る。
「弥生、どうしてお前がここに?」
「古墳調査をしてたら、地下に通じる階段や通路があって、そこを通って来たらここにたどり着いたのよ」
「君たちこそ、どうしてここに?」
藤原の質問に信二が答える。さらに今の状況も説明する。
藤原がサタケを見て驚く。
「あれは……伊東君かい?」
「あなたたち、まさか、調査中の古墳から来たの?」
話を聞いていた真理が口を挟む。
弥生が「はい」と答えると、真理がサタケのほうを見る。
「王はやっぱりこの地下都市のことを気にかけていたのよ。だから、地震の後も自分のクニからこの地下都市に行ける道を探していたのよ。そして、この地下都市に通じる道も見つけた。この二人がクニのあった古墳からここにやって来たのがその証拠よ。これで王の気持ちがわかったでしょ」
しかし、真理のその言葉を聞いても、サタケはまだ黙ったままでいる。
突然、サタケが大声で笑いだした。
「真理とか言ったな。お前は一体何なんだ。クニの王かその臣下の子孫か?」
真理は何も答えない。
「まあ、そんなことはどうでもいい。よくもまあ、長々と適当な作り話をべらべらと話してくれたな。全く時間の無駄だった」
「作り話なんかじゃないわ」
「それも含めて、俺にとってはもはやどうでもいい。ずっと待ち続けたチャンスが訪れたんだ。俺は最強のこの刀とともに、自分の長年の野望を果たすまでだ」
そう言って、刀を握りしめたサタケがゆっくりと向かってくる。もはや、真理が何を言っても無駄だった。
「先生、どうします?」
古代史研究会のメンバーが藤原を見る。
「どうするも何も、なんとかしてこの場を離れるしか……」
さすがの藤原も、この局面を打開する方法は浮かばなかった。
「私が時間を稼ぎます。その隙にみなさんは逃げてください」
そう言って、真理が古墳のほうを見る。そして、何か呪文のようなものを唱え始める。
すると、なんと、古墳の周囲にいた力士や狩人の姿をした埴輪が動き出した。埴輪はそのままサタケのほうへ向かっていく。
「私は呪術師なので。このくらいのことはできるんです」
「はあ……」
驚きのあまりぽかんとして口を開けたまま自分を見ている古代史研究会のメンバーを見て、真理がおどけたように言うが、その顔には余裕はなかった。
「これで時間を稼ぎます」
サタケと埴輪の戦いが始まった。その間、真理はずっと呪文のようなものを唱え続けている。
埴輪は恐れることなく次々とサタケに向かっていく。
しかし、サタケの強さには歯が立たず、埴輪は次々と斬られていってしまう。
古代史研究会の三人がいる場所の後ろ側から声がした。
「みんな!」
その声を聞いて三人が振り返る。
「弥生!」
なんと、やって来たのは弥生と藤原だった。
信二、金次郎、伊代の三人と、弥生と藤原の二人が驚いた表情でお互いの顔を見る。
「弥生、どうしてお前がここに?」
「古墳調査をしてたら、地下に通じる階段や通路があって、そこを通って来たらここにたどり着いたのよ」
「君たちこそ、どうしてここに?」
藤原の質問に信二が答える。さらに今の状況も説明する。
藤原がサタケを見て驚く。
「あれは……伊東君かい?」
「あなたたち、まさか、調査中の古墳から来たの?」
話を聞いていた真理が口を挟む。
弥生が「はい」と答えると、真理がサタケのほうを見る。
「王はやっぱりこの地下都市のことを気にかけていたのよ。だから、地震の後も自分のクニからこの地下都市に行ける道を探していたのよ。そして、この地下都市に通じる道も見つけた。この二人がクニのあった古墳からここにやって来たのがその証拠よ。これで王の気持ちがわかったでしょ」
しかし、真理のその言葉を聞いても、サタケはまだ黙ったままでいる。
突然、サタケが大声で笑いだした。
「真理とか言ったな。お前は一体何なんだ。クニの王かその臣下の子孫か?」
真理は何も答えない。
「まあ、そんなことはどうでもいい。よくもまあ、長々と適当な作り話をべらべらと話してくれたな。全く時間の無駄だった」
「作り話なんかじゃないわ」
「それも含めて、俺にとってはもはやどうでもいい。ずっと待ち続けたチャンスが訪れたんだ。俺は最強のこの刀とともに、自分の長年の野望を果たすまでだ」
そう言って、刀を握りしめたサタケがゆっくりと向かってくる。もはや、真理が何を言っても無駄だった。
「先生、どうします?」
古代史研究会のメンバーが藤原を見る。
「どうするも何も、なんとかしてこの場を離れるしか……」
さすがの藤原も、この局面を打開する方法は浮かばなかった。
「私が時間を稼ぎます。その隙にみなさんは逃げてください」
そう言って、真理が古墳のほうを見る。そして、何か呪文のようなものを唱え始める。
すると、なんと、古墳の周囲にいた力士や狩人の姿をした埴輪が動き出した。埴輪はそのままサタケのほうへ向かっていく。
「私は呪術師なので。このくらいのことはできるんです」
「はあ……」
驚きのあまりぽかんとして口を開けたまま自分を見ている古代史研究会のメンバーを見て、真理がおどけたように言うが、その顔には余裕はなかった。
「これで時間を稼ぎます」
サタケと埴輪の戦いが始まった。その間、真理はずっと呪文のようなものを唱え続けている。
埴輪は恐れることなく次々とサタケに向かっていく。
しかし、サタケの強さには歯が立たず、埴輪は次々と斬られていってしまう。