第30話 伝説の古墳都市
文字数 1,551文字
四人の目の前には、本当にここが地下なのかと思ってしまうほどの広大な空間が広がっている。
「ここは……」
四人はその広さに圧倒される。いや、圧倒されたのはその広さだけではなかった。
その広大な敷地の周囲は、高さ五メートルほどの鉄の柵で厳重に覆われていた。その向こう側には、木造の櫓の先端部分が柵の上から見える。しかも、櫓は十棟以上あった。櫓は古代、弥市時代や古墳時代に造られたものを思わせるものだった。
「あそこが入り口みたいですよ」
金次郎が正面を指さす。その方向に、鉄の柵の一部が門のようになっている箇所があった。そこが入り口のようだった。
四人は門に近づいていき、その正面に立つ。門は鉄の鍵のようなもので頑丈に締められていた。触って動かしてみたが、開けることはできなかった。
門や周囲を覆う柵は高さがあるため、そこから上って中に入るのは困難だった。
「どうする?」
信二ら三人が門を見上げながら、何か方法がないか考えていると、
「ちょっと、下がっていてくれ」
と言って、伊東が刀を取り出して門の前に立つ。
三人は言われた通りに門の前から後ろに下がる。
伊東は身構えると、素早く刀を振り下ろす。小さく静かな動きだったが、刀を振るスピードは目にも止まらぬほどの速さだった。
その瞬間、門についていた鍵が地面に落ちる。カギは真っ二つになっていた。
三人は伊東の剣の腕に驚くしかなかった。
「さあ、中へ入ろう」
伊東が涼しい顔で門を開ける。
門をくぐって中へ入った瞬間、四人は目の前の光景を見て、開いた口がふさがらなかった。
「これは……」
金次郎は目を見開く。
「邪馬台国みたい」
伊代は目を輝かせている。
「いや、邪馬台国ツアーで見た邪馬台国よりさらに大きい」
信二も信じられないといった顔をしている。
敷地内には大小さまざまな建物が建てられている。柵の周辺に作られた背の高い櫓、古代の竪穴式住居や高床式倉庫もある。それ以外にも大きな建物がいくつもあった。
さらに、ここの場所も当然地下にあるはずだが、どこからか太陽の光が差し込んでいる箇所があちこちにあり、ちょうど照明のように中を照らしていた。
光が差し込んでくる箇所の地面には土が敷かれていた。そのそばには水路のようなものもあった。それを見た金次郎が驚いた表情を見せる。
「まさか、こんな地下で農業をやっていたんですか?」
確かに土が敷いてある場所は、いくつかの区画に仕切られていて、そこは田んぼや畑だったことを思わせる。
敷地の周囲を覆う柵、入り口の頑丈な門、多くの建物、農地……まさにこの敷地全体がひとつのムラ、いやもっと大きな、まるでクニのようになっていた。
「あの建物は何だろう?」
伊東が倉庫が並ぶ場所の近くにある、この敷地の中でもひときわ大きな建物に気付く。四人はその建物に近づいていく。
そこは人の住む場所というよりも、何かを生産していた工場のようだった。そこには大量の鉄や鉄製品が置いてあった。どうやらそこは、鉄を生産する工場のようだった。
「ここは鉄を生産する工場なのか。まさか本当にあったとは……」
伊東が驚いた表情を見せつつもうなずく。
「その昔、古墳時代に古墳の下に造られた都市があった、という伝説を聞いたことがある」
三人が伊東のほうを見る。
「その都市を造ったのは、古代でも指折りの強さの戦士だったということだ」
伊東は三人の様子は全く気にせずに、一人でつぶやいている。
「伝説を聞いたときは、そんなことはありえないと思っていたが……」
伊東は目の前に広がるムラ、いやムラというより地下都市といったほうが適切と思われる、目の前に広がる光景に見とれていた。
「ここは……」
四人はその広さに圧倒される。いや、圧倒されたのはその広さだけではなかった。
その広大な敷地の周囲は、高さ五メートルほどの鉄の柵で厳重に覆われていた。その向こう側には、木造の櫓の先端部分が柵の上から見える。しかも、櫓は十棟以上あった。櫓は古代、弥市時代や古墳時代に造られたものを思わせるものだった。
「あそこが入り口みたいですよ」
金次郎が正面を指さす。その方向に、鉄の柵の一部が門のようになっている箇所があった。そこが入り口のようだった。
四人は門に近づいていき、その正面に立つ。門は鉄の鍵のようなもので頑丈に締められていた。触って動かしてみたが、開けることはできなかった。
門や周囲を覆う柵は高さがあるため、そこから上って中に入るのは困難だった。
「どうする?」
信二ら三人が門を見上げながら、何か方法がないか考えていると、
「ちょっと、下がっていてくれ」
と言って、伊東が刀を取り出して門の前に立つ。
三人は言われた通りに門の前から後ろに下がる。
伊東は身構えると、素早く刀を振り下ろす。小さく静かな動きだったが、刀を振るスピードは目にも止まらぬほどの速さだった。
その瞬間、門についていた鍵が地面に落ちる。カギは真っ二つになっていた。
三人は伊東の剣の腕に驚くしかなかった。
「さあ、中へ入ろう」
伊東が涼しい顔で門を開ける。
門をくぐって中へ入った瞬間、四人は目の前の光景を見て、開いた口がふさがらなかった。
「これは……」
金次郎は目を見開く。
「邪馬台国みたい」
伊代は目を輝かせている。
「いや、邪馬台国ツアーで見た邪馬台国よりさらに大きい」
信二も信じられないといった顔をしている。
敷地内には大小さまざまな建物が建てられている。柵の周辺に作られた背の高い櫓、古代の竪穴式住居や高床式倉庫もある。それ以外にも大きな建物がいくつもあった。
さらに、ここの場所も当然地下にあるはずだが、どこからか太陽の光が差し込んでいる箇所があちこちにあり、ちょうど照明のように中を照らしていた。
光が差し込んでくる箇所の地面には土が敷かれていた。そのそばには水路のようなものもあった。それを見た金次郎が驚いた表情を見せる。
「まさか、こんな地下で農業をやっていたんですか?」
確かに土が敷いてある場所は、いくつかの区画に仕切られていて、そこは田んぼや畑だったことを思わせる。
敷地の周囲を覆う柵、入り口の頑丈な門、多くの建物、農地……まさにこの敷地全体がひとつのムラ、いやもっと大きな、まるでクニのようになっていた。
「あの建物は何だろう?」
伊東が倉庫が並ぶ場所の近くにある、この敷地の中でもひときわ大きな建物に気付く。四人はその建物に近づいていく。
そこは人の住む場所というよりも、何かを生産していた工場のようだった。そこには大量の鉄や鉄製品が置いてあった。どうやらそこは、鉄を生産する工場のようだった。
「ここは鉄を生産する工場なのか。まさか本当にあったとは……」
伊東が驚いた表情を見せつつもうなずく。
「その昔、古墳時代に古墳の下に造られた都市があった、という伝説を聞いたことがある」
三人が伊東のほうを見る。
「その都市を造ったのは、古代でも指折りの強さの戦士だったということだ」
伊東は三人の様子は全く気にせずに、一人でつぶやいている。
「伝説を聞いたときは、そんなことはありえないと思っていたが……」
伊東は目の前に広がるムラ、いやムラというより地下都市といったほうが適切と思われる、目の前に広がる光景に見とれていた。