(8)

文字数 966文字

「おい、マヌケ野郎。警告はしてるぞ。私の次の動きは読めてるだろうが……私の意図までは読めるか?」
 眞木さんのお姉さんは……サングラスの人にそう言った。
「何?」
 次の瞬間、眞木さんのお姉さんは……右手首に巻き付いた紐を思いっ切り引く。
 眞木さんのお姉さんとサングラスの人の手首を繋いでいた紐は……いつの間にか、男の人に首にかかっていて……。
「ぐえっ⁉」
 次の瞬間、2人の手首から紐が外れる。
「あ〜あ……私の意図だけじゃなくて……動きまで読めなくなったな」
「ふざけんな……。もう、テメエを舐めたりしねえ……。全力でいくから……覚悟しろ」
「ホントに体は中年男でも、精神年齢は小学生のようだな」
「ブッ殺すッ‼」
 サングラスの男の人が前に飛び出る。
 これまでの2人の戦い方を見て判った。
 狭いバスの通路内……動きは制限されてる。
 なら……目が見えないって不利は、ある程度解消され……あとは体の大きさや力の強さの問題……えっ?
 眞木さんのお姉さんが座り込み…バスの床に……静かに何かを置く……。
 護身用に持っていた唐辛子粉の小瓶をいくつも……それらが床を転がり……。
「うわああ……」
 サングラスの男の人は……唐辛子粉の小瓶の1つを踏んでバランスを崩し……。
 眞木さんのお姉さんは、その隙の逃さず、足払いと同時に、顔に(てのひら)を叩き込む。
 ゴンッ‼
 サングラスの男の人の後頭部が……思いっ切りバスの床に激突。
「私を鍛えた誰かを倒すのは骨だが……私を倒すのは容易だと……?」
 そう言って、眞木さんのお姉さんは、コートのポケットから携帯電話(ブンコPhone)を取り出して倒れてる男の人の写真を撮る。
「気が向いたら……ネットに流して笑い物にするか……」
「てめえええ……ッ‼」
 その時、運転手さんを脅してた男の子が……ナイフを持って眞木さんのお姉さんに突撃してきた。
 けど……。
 眞木さんのお姉さんは、攻撃をかわすと同時に、男の子の腕を払う。
 次の瞬間、男の子はバランスを崩し……って言っていいのかな?
 まるで投げ飛されたように、座席に頭から突っ込んだ。
「えっと……運転手さん」
「は……はい……」
「命の恩人にお礼してもらえないかな?」
「な……何でしょう?」
「バス会社に連絡する前に……適当な所でバスを止めて私達を下して……あと、防犯カメラの映像を消去しといて」
「は……はい……」
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