第15話 死のアトラクションIII

文字数 2,382文字

レストランも混んでいたため、やや待たされた。
待っていると、女の人同士で遊びに来ていた大学生みたいなお姉さんの一人が何かを落としたので、拾って渡す。
すいません。これ落としましたよ。
ありがとうございます。助かりました。


城北の制服ですね。

あ、はい。知ってるんですか?
昔、受験して入れなかったんです。優秀なんですね。今日は学校休みなんですか?
いえ、俺は優秀じゃないです…まぐれで入れたんです(笑)


そ、そうです。創立記念日です(汗)

(サボりです、なんて言えず嘘をついてしまった…)
目の色凄いきれいですね。宝石みたいな色してますね。
あ、ありがとうございます。
(宝石みたいな輝いている目ってことは多分まだ覚醒中なんだろうな…)
話をしていると後ろから凄い殺気を感じると思ったら、殺気を急に感じなくなった。


それと同時に軽い貧血に襲われフラフラした…

大丈夫ですか?
そう言ってオ・レを支えてくれた大学生くらいのお姉さんの顔が近い…
あれ?さっきまできれいな宝石みたいな目をしていたのに、あれ?私の見間違いかな?
お姉さんが困惑していると、俺は後ろから頭を殴られた。
痛ぇぇ…
いつまで油売ってんの。呼ばれたから行くよ。
俺は愛菜に引きずられながら、席に連れて行かれた…


どっと疲れが出たが、お腹はめちゃくちゃ空いている。

覚醒状態切れたね。時刻は、13時10分。


50分か。まぁ少し長くなったね。今回も早漏じゃなくてよかったね。

(なんかこいつ機嫌悪くなってないか?腹減ったからか?)
愛菜は俺がまだメニュー表を開いたばっかりなのに、自分だけピザだのスパゲッティだのハンバーグだの、ドリアだのジュースだの頼んだ。
俺まだ決まってないんだけど?
決まったら、勝手に頼めばいいじゃん。
なんか怒ってる?笑顔で行こうよ♪
愛菜の真似したら、シカトされた…
俺も店員さんを呼んで、エビピラフと、ガーリックライスとチャーハンを頼んだ。


愛菜のメニューが先に届き、無言で愛菜はモクモクと食べている。

その、俺なんか気に触ることしたかな?
初って年上が好きなの?
え?年上?おばさんは好きじゃないな(笑)
おばさんの話してないから。ちょっとだけ年上とかの話。
よくわかんないな〜。俺妹いるだろ?年下は奈緒みたいなもんだな、なんて思っちゃうから、どちらかと言ったら、同い年以上になるのかな?何で?
これだから童貞は。何にもわかっちゃいない。


もういいよ。いっぱいご飯食べたら機嫌なおりましたとさ〜。

そんな機嫌悪くなるくらい早くご飯食べたかったんだな。


俺も初めて3つもメニュー頼んだよ(笑)

はいはい。じゃあ気を取り直して、初のメニューが届いても私は、もう食べ終わって退屈なの嫌だから、デザート頼むね♪いいよね?
お好きにどうぞ。
お昼を食べ終わると、なんとか機嫌を直してくれた愛菜。


俺達の食べる量が尋常じゃないので、周りの人達はびっくりしていた。


現在、駐車場で訓練を開始してすでに俺は2回引かれかけている。


運転手はもちろん怒鳴るしキレる…


俺はひたすら謝る…


愛菜は爆笑して喜ぶ…


このとてつもなく死に近い数々の訓練は、徐々に俺の覚醒したいタイミングで覚醒出来るように感覚をつかませ始めてくれていた。

むかえた3回目の挑戦。
よし♪初、あの車エンジンかけたし、もうすぐ出そうだからあれにしようよ♪
その車を見て絶句する俺…
1回目は軽自動車、2回目は乗用車、3回目の今度愛菜が指さしたのは、大型バス…
さすがにあれはないだろ…あれは車っていうか大型バスだろ?
バスも車じゃん♪
愛菜にバスから少し行ったところの車と車の間に隠れて待機させられる…


バスが、動き出すと方角的にこっちに走ってきそうだ。


今までの車と違ってデカい…


(ひかれたらたら痛いだろうなぁ…ちょっと大型バスはあんまりだよなぁ…)


なんて思ってると、愛菜が思いっきり俺を突き飛ばした…


俺はもちろんバスの目の前に突然飛び出しただけじゃなく転ぶ…


(あいつ、マジで俺がひかれろとか思ってそうだよな…突き飛ばしやがった…)

突き飛ばされる瞬間に、頑張ってね〜♪っていう愛菜の声が間違いなく聞こえた…


(頑張るも何も、俺ひかれる…くそっ)

自分の中で、血液の血の巡りを早くさせる。心拍数も上昇させる、自分の身体を、はじめてちゃんと自分の意思で覚醒させられた。


覚醒した俺はひかれる寸前に、素早く歩行通路に出ると、バスは急ブレーキをかけて止まった。


運転手が降りてきてあたりをキョロキョロしているが、誰もいないことを確認するとバスは再出発し、行ってしまった。


そして、俺は血液の血の巡りを通常時に戻し、心拍数も通常時に戻す。


すると、通常時に戻ったのか、貧血状態にはなりクラクラする。


(掴んだ、覚醒状態の入りきりは自分の意思で出来るようになった!!)

喜んだのも束の間、貧血でふらつくと愛菜がいつの間にか目の前にいて俺を支えた。
頑張ったね〜♪バスにひかれなくてよかったね♪♪ひかれたらそれはそれで面白そうだったのに(笑)


ちょっとコツ掴んだみたいだね♪


では、次はいよいよデートの醍醐味、観覧車で〜す♪


ロマンチックな夜景が見れないのが残念だけど、それ以上に面白そうなものが見れそうなので、楽しみにきてま〜す♪♪

俺のこと突き飛ばしただろ?(汗)


マジで死ぬかと思ったんだぞ(汗)


何で俺は毎回貧血起こすのに愛菜は覚醒しても貧血起きないんだよ?

ん?突き飛ばした?誤解だよ♪バスにビビってるから、頑張れるように背中を押してあげたの♪(笑)


私が貧血起こさないのは、それだけ、準備して、努力してきたからだよ♪


初はまだまだ努力不足ってこと。

背中を押すっていうのは、突き飛ばすことじゃないだろ(汗)


そうか…そうだよな…

俺が努力不足なのはその通りだ。今日初めて命をかけてるんだから…


愛菜は俺の何百倍も何千倍も力を使いこなすため、努力したんだろうから…たった1人で…

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登場人物紹介

この物語の主人公 沖田 初(おきた はじめ)17歳。


城北高校2年生。運動神経抜群だが帰宅部。

木下 愛菜(きのした あいな)高校2年生17歳。


城北高校へ突然転校してきて主人公、初のクラスメイトとなる人物。


何故か初のことをよく知っている?


容姿端麗の美少女だが、冷たい冷酷な一面も持ち合わせる。

土浦 正樹(つちうら まさき)高校2年生17歳。


城北高等学校 剣道部エース


初の親友。家も近所で小、中、高と初のことを昔から知る人物でもある。



沖田 奈緒(おきた なお)中学3年生15歳。


城北中等学校 剣道部主将


初の妹。隣接する城北中学3年生。容姿が良くモテるがややブラコン気質のため彼氏なし。

屋敷 弁蔵(やしき べんぞう)39歳。弁蔵Kitchenのオーナー。


独身。

堀川 茜(ほりかわ あかね)24歳


弁蔵の婚約者。

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