第32話 生きるため。ためらうな!!

文字数 1,917文字

中等学校からは悲鳴や泣き叫ぶ声が聞こえる…


高等学校の屋上に来たものは隣の屋上の光景を見て更に錯乱状態となる。


高等学校で空き地に向かって括り付けたロープは空き地をウロウロしているゾンビ人間がすでにいるため、もう役にはたたない…


立つこともできない中、俺は屋上にいる奈緒や正樹に武器をよこせと言っている人達に言った、

助かりたかったら…


そっちのロープを付け替えて…


表側からロープを降りれば…


仲間が…助けてくれるから…

そんなんで助かるかわかんねーだろ!!
そうだそうだ!!じゃあお前がやれよ!!
上級生達が何を思ったのか俺を蹴り始めた…
奈緒が俺を蹴り始めた上級生を刀で斬りつけた…
う、うわぁー!!!!



いてぇー!!
おとなしく言う事聞かないと殺すよ。
奈緒がそう言うと、屋上にいた他の生徒たちはビクビクしながら行動を開始した…


斬りつけられた上級生は傷口からの出血が止まらず倒れ込んだ…

正樹は奈緒の行動にびっくりして固まっている…
正樹君。こんなことで驚いてちゃ駄目だよ。


お兄ちゃんの話だと私も正樹君も未来では生きてないんだって。


だから、生きるために戦うの!!わかった?

は、はい。わかった…
正樹はまだ思考回路が止まっているのか返事は弱々しかった…
空き地側のロープが2本引き上げられ、屋上から今度は表側に2本ロープが吊るされた。


表側にロープが吊るされたことを茜さんが確認したのか、ロープ周辺のゾンビ人間を茜さんが蹴散らし始めた。


バスの窓からはまっさんと友美さんも銃でゾンビ人間を撃ち始めた。


弁蔵さんはバスから降りてきてゾンビ人間を切りながら、ロープ側に向かってくるのが見えた。

(何も言わなくてもみんなそれぞれの役割を直感で感じて動いてる…凄い…このメンバーなら出来る!)


屋上のフェンスにかろうじてしがみつきながら、下の状況を見ていた俺もヨタヨタ動き始めた…

皆さん!!避難を開始します!!1つのロープに2人ずつで降りてください!!
最初の2組ま4名まで降りるとなんとかバスからの道をつくった、弁蔵さん、まっさん、友美さんのおかげで、4名は走ってバスに向かい乗るのを確認した。
でも…高等学校も…もうゾンビ人間が屋上の階段まで迫って来ているみたいで、悲鳴がすぐ近くに感じるようになった…


田村先生が息を切らしながら、屋上にかろうじて上がってきた…

ハァハァ…


沖田…お前は無事だったんだな…


木下といい、お前といい…何がどうなってるんだ?

説明している時間はないです。先生も順番に並んでこのロープで下に降りたら、仲間がバスまでの道を作ってます。バスに乗ってください!
先生と話していると屋上の出入り口にゾンビ人間が何体か現れ始めた…


パニックが起き、順番を守らなくなった生徒でロープは両方とも切れてしまった…


たくさんの生徒が屋上から落下していった…


屋上には、もう数名と俺たちしかいない…

沖田、先生はな。この状況で何も出来なくて逃げることしか出来なくてここにたどり着いた。


最後に俺は逃げずに戦おうと思う。

何言ってるんですか!まともに普通の人間が相手に出来るような奴らじゃないですよ!


俺が何か手を考えますから!

手を考えてる時間なんてないだろ。


木下とお前は特別な何かなんだろ?


警察に自首しろなんて言って悪かったな。


俺にはわからないけど、お前がここで死ぬわけにはいかないだろ。


だから、生きろ!


俺は普通の人間だから、少ししか時間は稼いでやれないからな(笑)


土浦、それを俺にかしてくれ。

え?え?
正樹がテンパりながら、先生にハンドガンを渡す…
先生!そんなんじゃ駄目です!すぐ玉切れします!!
言っただろ、少ししか時間稼げないからなって。
そう言うと先生は屋上の出入り口へ走り出す…
先生駄目だ!!


行くなぁぁぁ!!

響き渡る銃声…


視界には、弾切れしても、ゾンビ人間に噛まれても必死に出入り口を死守する田村先生の姿が見える…


(なんでだよ…なんで…俺がもう少し戦えたら先生は自分の命を差し出さずに済んだのに…)


今フェンスにしがみついて立つことしかできない不甲斐ない自分への怒りで、血圧があがり、血の流れをコントロールすると覚醒状態になれた…


(迷ってる時間はない…全員は救えない…)



奈緒!!刀を俺にかえしてくれ!!
あ、はい。
奈緒から刀を受け取ると
正樹!!奈緒!!いいか、俺を信じて、怖くても絶対俺を掴んで離すなよ!!


しっかり俺を掴むんだ!!

刀の色が赤く変わると、正樹と奈緒はびっくりしていた。
どうするつもりなんだよ?
そう言って正樹は俺を掴んだ。


正樹に続いて奈緒も俺を掴む。

二人とも行くぞ!!両手で俺に絶対にしがみついて離すなよ!!
正樹と奈緒が俺に両手でしっかりしがみついたのを確認すると、俺は屋上から飛び降りた…
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登場人物紹介

この物語の主人公 沖田 初(おきた はじめ)17歳。


城北高校2年生。運動神経抜群だが帰宅部。

木下 愛菜(きのした あいな)高校2年生17歳。


城北高校へ突然転校してきて主人公、初のクラスメイトとなる人物。


何故か初のことをよく知っている?


容姿端麗の美少女だが、冷たい冷酷な一面も持ち合わせる。

土浦 正樹(つちうら まさき)高校2年生17歳。


城北高等学校 剣道部エース


初の親友。家も近所で小、中、高と初のことを昔から知る人物でもある。



沖田 奈緒(おきた なお)中学3年生15歳。


城北中等学校 剣道部主将


初の妹。隣接する城北中学3年生。容姿が良くモテるがややブラコン気質のため彼氏なし。

屋敷 弁蔵(やしき べんぞう)39歳。弁蔵Kitchenのオーナー。


独身。

堀川 茜(ほりかわ あかね)24歳


弁蔵の婚約者。

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