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 そして俺が落ちたので、彼らは慰めの飲み会を開いてくれた。
 そこで俺は驚く事を聞くこととなった。
彼らは全員、俺が受けた会社の幹部の子息だったのだ。女の友達は、社長の娘で。
言い難いが系列会社なら紹介出来ると言った。
他の二人は部長の息子。つまり俺はこいつらに使われる身になるのだ。馬鹿げていた。
何の能力も無い者達に何故、使われなければならない。

 世襲!これがそうなのか?
親父もお袋も同じ目にあったのだな。
俺は、ポカーンと口を開けて聞いていた。
呆れると人は、本当に口を開けるんだなと、
初めて知った。
 俺は気分が悪い、と先に一人店を出た。
女友達が、考えておいて!と叫んだが。
俺のプライドが許さなかった。

 何の為、苦労して大学に入り出たんだ。
馬鹿げている。俺はその会社には、断じて入りたくなかった。
だが、バイトではお袋に楽させてやれない。
それどころか、俺は奨学金を返さなければならない。かと言って、他の会社も同じなら、と俺は絶望した。

 クソッこのままでは・・・。
で、俺は思い付いた。犯罪者に成ろう。
太く短くだ。この腐った世の中で、楽しく稼ぐならそれしかない。
 俺は考えた。最初に思ったのがオレオレ詐欺だが。可哀想な年寄から、金をふんだくるのは何とも俺らしくなかった。
 そこで思ったのが泥棒だった。

 ターゲットは、不正に世襲で金を得ている、金持ちから盗んでやろう、そう決めた。
俺はそんな事を思いながら、翌日から色んな悪事の勉強を始めた。
尤も悪事の教科書などは無かったので。
刑務所にでも入って、誰かに弟子入りするか?
と本気で思っていた。

だが金を稼ぐ為、生活の為、俺はバイトを始めるしかなかった。
その仕事中も、いかにしたらバレずに金を盗めるか、のみを考え続けた。
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