第5話

文字数 256文字

男は朦朧としていた。
夏の日差しは容赦なく、この冷涼な山里も襲い、国道脇の歩道を熱した。

酔っていたのだ。
夢か現かもわからず、フラフラ、そして、倒れた。
滴る汗、喉の乾き。
アスファルトに、溶けた氷菓。
solt sweat…
sugar on the asphalt…
小さく呟き、目を閉じた。

その手には、一通の手紙が握られていた。
何度も読み返したようにしわくちゃで、ところどころ、涙と酒の乾いたしみがあった。
酒の乾いたところは、べたべたしていた。

ひっそりとした山里の夏の午後、彼が発見されたのは数時間後。

既に手遅れだった。
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