第3話

文字数 235文字

塩っぱい水。
ああ、お砂糖なんかじゃない。
あのひととは、もう、会えないのかな?
わたしの息のあぶく。
涙が、塩水に溶ける。

ざばん。
「おい、アンタ、何やってんだ!」

抱き抱えられた。
なんだ、あのひとじゃ、ないのね。
気が遠くなる。


目が覚めた。
病院のベッド。
お母さんが、八朔をむいてくれた。
「お砂糖、まぶして」
お母さんは、泣き笑いしてた。

それから、秋になって、冬が来た。
冬は寒いからきらい。
あのひとと過ごした場所は、とても寒かった。
夏だって、寒かった。
わたしのおなかは、膨らんできた。
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