02 蘊蓄1 プリンとウニ(874文字)

文字数 874文字

「プリンに醤油をかけるとウニの味になる」

 よく聞く話だが、これは半分正解で半分間違いだ。

 正しくは

「ウニに醤油をかけていないものがプリン」

 なのだ。

 ウナギの生態が未だ全ては解明されていないという話は有名なので知っている人も多いだろう。だが、実はウニの生態はウナギ以上に未解明な部分が多い。

 ウニは産卵期になると、海水中に卵子と精子を放出する。
 それらが受精すると、1~2日程で孵化が始まる。
 その後、プリズム幼生(ようせい)からプルテウス幼生と呼ばれる形態への変化を()つつ1~2ヶ月間、海水中を漂いながら植物プランクトンを食べて成長し、約0.5ミリ程になる。
 それから、数ヶ月経つと2ミリ程の大きさに。
 その後も海底で成長を続け、約5年後に ようやく食用に適した大きさになる。


 …と、考えられていた。


 だが、幼生から成体までの謎の数年間が、最近ついに明らかになった。


 プリズム幼生からプルテウス幼生、その後ウニの成体と考えられていたが、プルテウス幼生と成体の間の状態を捉えることに成功したのだ。


 それがプリン幼生とプリン成体だ。


 プリン成体は、これまでウニとは別の生物と考えられたていたため、この発見は業界に大きな衝撃を与えた。


 これもあまり知られていないことだか、プリン成体を加熱加工したものが、世の中で流通している、カスタードプリンである。


 また、プリン幼生を加工したものが、生プリンだ。


 ちなみに、プッ○ンプリン等のゼラチンで固めたものは、これらを模したもので、原材料から異なる。


 そして、プリン成体がウニの成体へと変化するカギとなるもの、それが醤油であることが判明した。
 いや、正確には醤油に類する何か、そこは未だ未解明なのだが、海底にて稀に発生する その醤油に類する何か(以後、便宜上 醤油と表記する)に触れると、防衛本能から表面の殻が硬化し、やがてあのお馴染みの(とげ)管足(かんそく)が発達しだすのだ。

 つまり、この醤油に触れるか触れないかで、プリンになるかウニになるかが決まる。実に興味深い発見である。

 その希少性から、プリンよりウニが高価なのもうなずける。
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