第2話

文字数 402文字

 靴もはかず、春雨が降っているが傘もささず、ふらふらと夜十時の町を徘徊し始めた。
 田舎すぎるので、十時をすぎると人通りもなければ、少ない街灯と自動販売機の明かりしかなかった。
 目的はない。どうしのうか。

 電車にぶつかるとすぐに逝けるらしい。
今ならギリギリ終電に飛び込めるはず。
でも、身元が分かると親にめちゃくちゃ迷惑がかかるらしい。ちょっと親に悪いと思うあたり、まだ俺はしぬ気が弱いのかもしれない。

 王道である首吊りは、うまく縛れないとほどけるし苦しいだけらしい。

 飛び降りも五階とかくらいの高さはほしいみたいだけど、近くにそんな高い建物もないし。

「……結局、ただのしにたがりなだけかよ、俺は」

 自分に嫌気がさして吐き出した言葉。

「手伝うー?」

 そんな独り言に、言葉が返ってきた。
 どこからだ、と、俺はあたりをキョロキョロと見回す。

「下だよ、下」

 声は、自動販売機の光に照らされて、俺の足元から聞こえた。
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