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文字数 1,244文字
まさか、ダイナ？ 立ってるのとかこんな色なのは不思議だけど、すごく悪いことしたのを見つかって逃げようとしてるダイナみたいだわ……
……ちょっと、ダイナ！ 消えるの止めてこっち来なさい！！
ゾーイは飼い主らしく凛としてハロウィンカラーのしましまに呼びかけた。
猫は耳を倒して、しゅんとした様子でゾーイの前に現れる。
私のちょっと残酷な子猫ちゃん、何をしたのか白状なさい。
でないとおやつ抜きにしちゃうんだから
私は小さくなってないし、あんたもそんなに大きくなってないわよ。
それより、ちゃんと言いなさい
ゾーイの勢いに、さすがのチェシャ猫もにやにや笑いを半分くらい……口の端で笑うくらいに、控えた。
……「そりある」のことかにゃ？
ソリアルって何よ？ それを言うならシリアルとか……
……っ！
ゾーイはその言葉に、はっとしたように食いついた。
シリアル……これは、あたしの記憶……？？？
あ、なんとなく思いだしてきたわ。
今朝、シリアルの中に小っちゃいチェス盤を落としてミルクでずぶぬれにしたの、あんたでしょう！
あれはきっとここじゃない現実の世界、朝ごはんのときね！
（……待って、帽子屋の言ってたのって……あれが正しかったら……）
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「ここではね、女王様がチェス盤をまるごとマラコーの海に沈めてしまったのさ」
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もしかして、あんたが『女王』なの？
……
……そうだにゃ。この世界の『女王』はー、いつもダイナなんにゃ
……はあ
ゾーイは盛大に息をついた。
ああもう、あんたのせいだったのね、理屈は知らないけどこんな変な夢見ちゃったのは！！
こんなときじゃなきゃダイナと話せるなんて嬉しいはずなのに！
え？
だって、ここが変なのってあんたのせいなんでしょ。時計ウサギだって女王の手下なんだし、あんたがあたしを連れてきたんじゃないの？
……
ダイナは、いやチェシャ猫は、ニヤニヤしてない笑いを顔いちめんに――正面を向いて（full face）――広げた。
だいなはここにきただけにゃ？
それにだいなは、鳥とってないんにゃ
鳥って何のこと？
……？
いつの間にかダイナは見たこともないような顔になっていて、そのおおきな目玉からはとても大きな瞳孔がじっとゾーイを見つめていた。
自分の足で歩かなきゃだめじゃにゃいかにゃ？
そして、ゾーイの隣をすり抜けて、ぱっと道の向こうに駆け込んでいった。その姿はすぐにかき消える。
あ、追いかけなきゃ！
ゾーイはそれを追いかけて、奥へ……砂糖菓子でできた森へと、踏み込んだ。
*＊To Be Continued＊*
