デスゲーム下請参加者・B (1)

文字数 977文字

「なんでだよ……?」
 運良くターミナル駅の近くに会員証を持っているネットカフェが有った。
 しばらくの間の宿は確保出来たはいいが……最初のゲームはクリアした筈なのに、主催者から連絡が無い。
 自分に割り当てられた最初のゲームの標的が、日本の総理大臣だった時には……希望と絶望を同時に感じた。
 希望は……1回戦で、早くも元妻に親権を取られた子供達全員を大学まで行かせる事が可能なほどの大金を手にする事が出来る事。
 絶望は……その大金を手にするハードルがあまりに高い事。
 しかし、まるで冗談のように巧くいった。
 夢なら、これは良い夢なのか? それとも悪夢か?
 だが……連絡が取れない……。
 この「デスゲーム」とやらの主催者の指示通りに、総理大臣を殺したのに、主催者は何も言ってこない。
 しかし……。
 たしかに、あの「脳内に埋め込まれた爆弾」の効果は、この目で見た筈だ。
 奴らは、わざわざ気を失なった奴の頭を切開いて……脳味噌の一部が吹き飛んでるのを俺達に見せた。
 誰かが自分を騙して総理大臣を殺させたとしても……。
 変だ。
 自分が単なる総理大臣を殺す為だけの使い捨てなら、何故、未だに生きてる?
 警察に逮捕されたとしても……待て……こんな話、誰が信じ……。
 いや……もし、自分の脳内に()()()()()()()なら?
 俺が「日本の有名政治家を殺すゲームが行なわれていて、俺達は脳内に爆弾を埋め込まれてたせいで、そのゲームの参加者になるしかなかった」などと言っても誰も信じないだろう。
 ましてや……大病院にある……親父が脳梗塞になった時に使われた、あの何とかってすげ〜機械で調べても、頭の中に爆弾なんて見付からなかったら? 影も形も無かったら? ホントにホントに冗談ぬきで、そんなモノは存在しなかったら?……俺は、大嘘吐きか@#$%だ。
 ネットカフェのPCでニュースを確認すると……たしかに、あの時、参加者に割り当てられた政治家の半数以上が今日1日の間に襲撃を受けて……何人かは死んだか重症で……。
 やっぱり変だ。
 襲撃された政治家は二八名。殺害成功は一一名。殺害に成功したか否かを問わず、逮捕された容疑者は一七人。
 だが、その一七人の全員が、原因の判らない意識不明の重体。
 どうなってんだ、おい?
 俺の頭には、ホントに爆弾が入ってんのか? それとも違うのか? どっちなんだ?
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