やってきました三人娘!

文字数 1,050文字

ある日の早朝。三人の少女がバスターミナルに降り立った。
おーい、二人とも、速く速く!
ちょっと! 満月ちゃん、いくらなんでも速すぎるってば!
私は腰が痛ぇですわ
なんだよ新美。バーサンみてー!
テメーふざけんじゃねーですわ! もういっぺん言ってくださいまし!
高速バスで延々四時間だよ?

元気な満月ちゃんのほうがおかしいって。

へへー、だって村の外だぜ!

テンション上がるだろー!

まあ、確かにあのクソ実家から離れられたのはせいせいしますわ!
あの村、めちゃくちゃ息苦しかったもんね。
つーか! まずアタシたち三人が将来的に争わなきゃいけねーってのが意味わかんねーよ!
村の中で勢力が分かれていることが、

それぞれの団結力を高めつつ村八分を予防する意味があるってお父さんは言ってたけど。

それでも! 私たち三人の友情を引き裂こうだなんて!

ざっけんじゃねーですわ!

だよね!
ってか唯は妹三人もいるからなおさらだよな。
うん、妹たちまで村の慣習に巻き込みたくないもん!

そのためにも、私たちがビッグになって村のみんなを見返さないと!

あったりめーですわ!

そのために高校三年間、軽音部でガッツリ鍛えてきましたのよ!

やっぱ東京でビッグになるって言ったらバンドだもんなー!
な、なんかそれはちょっと違う気がしてるんだけど……。

まあ、二人が言うなら……。

あら? 唯、ノリが悪いですわ!
ご、ごめん。なんでもないよ!
――で? これからどうすればいいんだ?
ハァ!? まさかテメー、何も決めてねーんですの!?
満月ちゃんが「任せとけ」って言うからついてきたのに!
悪ぃ悪ぃ!

だって村から出ればあとはなんとかなると思ったんだって!

……前途多難だよぅ。
とりあえず、今の私たちに足りないものを考えようじゃねーですの。
足りないもの……むしろ足りてるもののほうが少ない気が……。
あ!!
ど、どうしたの?
ウチら楽器持ってねーじゃん!
確かに部活で使ってた楽器は学校の備品でしたわ!
確かに楽器がないとバンドはできないよね。
よっしゃー! そうと決まったら楽器屋に行くぞー!
おー!
やったるぜですわ!
あ!!
……今度はどうしたの?
楽器屋ってどっちに行けばいいんだ?
……やっぱり前途多難だよぅ。
道くらいその辺の人に訊けばいいじゃねーですの!
すみません、楽器屋の場所を教えてくださりません?
えっ!? 楽器屋!?

すみません俺はよくわからなくて……。

ハァ!? どういうことですの!?
ひ、ひぃ! すみません!!
東京ってお店が多いから、たぶん住んでる人でも全部覚えてないんじゃないかな……?
……まじか。
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