第6話

文字数 357文字

あのひとはパチンコ屋の店員してたんだけど、腰痛めちゃった。
それで学習教材の押し売りみたいな仕事に変わった。
わたしは病院の医療事務。
そんなふうに決まって、さあ、憧れの猫ちゃん生活スタート!
あれ?おかしいな。
あのひと、ずっと優しくないぞ。
おでかけして、店員に注意されちゃうくらいべたべたいちゃいちゃしてる時。
しあわせ。
でも、基本的に、言葉にしなくなっちゃった。
すき、を。
あいしてる、を。
優しい、大好きなご主人さま。
まあ、こんなもんか。
男のひとって、釣ったおさかなにエサをやらないものなのかな?
あのひとも?
わたし、おさかなじゃないよ。
時々、あのひとの思い通りに躾られそうに感じた。
わたし、犬じゃないよ。
猫。
わたしは猫なの!

猫になったのに。
あのひとは、はんぶんの時間しか、遊んではくれなかった。
それでもしあわせだったけど。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み