第2話 織田信長との出会い
文字数 1,250文字
彼は満足していた、夢で素敵な女性に逢える、 また自分は小説のように勇敢な男になれるのだと、そう思うだけで彼は興奮し、 満足するのである。
時にはスパー・ヒーローになって悪を懲らしめて、美女を救うのである、 そういう夢を見た後は爽快な気持になっていた。
しかし困るのはその時が現実か、空想かは自分でも解らなくなるときがある。そして朝になっていつものように薄い布団の中で汗をかいている自分に気が付いたときには、ほっと胸を撫でることも少なくない。
いつものように夢太郎が眠っている枕元で何やら、騒がしいのだ。 寝入っている彼の耳元で、その音は次第に大きくなってくる。
「うるさいなぁ、何の音だろう」 彼は寝ぼけ眼で薄目を開けた。
すると開けた夢太郎の目の前に、鋭い目が光って彼を見つめているのである。
「あっ!」と彼は叫ぶのだ。
そこに立って夢太郎を見つめているのは武将の顔だった。
その頑強な身体に、着物を着た身なりのきちんとした武士の姿をした男なのである。
どうやらその男は戦国時代の武将のようだった。腰にはなにやら立派な刀が差してある、それを見ただけでも夢太郎はドキドキしてくる。
夢太郎は戦国物のストーリーが好きで、良くその手の小説を読みあさっていたのだ。
慌てて彼は身体を起こし、声も出せずにその武将を丸い目を見開き見つめていた。
その武将は夢太郎を見つめて言った。
「おお、やっと気づかれましたな、ささ、我が殿が先程からお待ちかねですぞ」
そう言うと彼の手を取り、起こそうとしたのである。
夢太郎は眠い眼を擦りながら意識を取り戻していた。
(先程から読んでいた小説の世界に来ているんだ、でもここは何処だろう?)
「あの、貴方は我が殿と仰いますが、その方のお名前をお聞かせ願えますか?」
夢太郎はあまりにその男が凛々しく、立派な武士であると解るので聞いてみたくなった。
「おお、我が殿のことでござりますな、左様……貴殿も知りたいでしょうなぁ」というなり、その武将はさも可笑しそうに笑ったのである。
夢太郎は自分が馬鹿にされたような感じになり、いつもの自分でない自分に何故かむかついていたのだ。 以外と夢の中の夢太郎はしっかり者らしい。そして、頭の上にきちんと結ったちょんまげの男は言った。
「殿は今、暇で退屈しておりまする、そうでなければ貴方のような方など、あはは……」 とさも可笑しそうに言うのである。
夢太郎はもう六畳間の安アパートの住人ではなかった、小説の中のその時代の中に自然ととけ込んでいたのだ。
「では教えますが、驚かれませぬように、我が殿とは、織田信長様であらせまするぞ」 そういうと武士はニヤリと笑った。夢太郎は腰を抜かさんばかりに驚いた。
「えっ! 織田信長?」
「左様、夢太郎殿、ささ着きました、あそこに殿がお待ちですぞ」
「ひやぁ!」
「なにぶんにも無礼がないように、殿はお気が短いので、言葉にはお気をつけて」
そう言うと武士は下がっていった。
時にはスパー・ヒーローになって悪を懲らしめて、美女を救うのである、 そういう夢を見た後は爽快な気持になっていた。
しかし困るのはその時が現実か、空想かは自分でも解らなくなるときがある。そして朝になっていつものように薄い布団の中で汗をかいている自分に気が付いたときには、ほっと胸を撫でることも少なくない。
いつものように夢太郎が眠っている枕元で何やら、騒がしいのだ。 寝入っている彼の耳元で、その音は次第に大きくなってくる。
「うるさいなぁ、何の音だろう」 彼は寝ぼけ眼で薄目を開けた。
すると開けた夢太郎の目の前に、鋭い目が光って彼を見つめているのである。
「あっ!」と彼は叫ぶのだ。
そこに立って夢太郎を見つめているのは武将の顔だった。
その頑強な身体に、着物を着た身なりのきちんとした武士の姿をした男なのである。
どうやらその男は戦国時代の武将のようだった。腰にはなにやら立派な刀が差してある、それを見ただけでも夢太郎はドキドキしてくる。
夢太郎は戦国物のストーリーが好きで、良くその手の小説を読みあさっていたのだ。
慌てて彼は身体を起こし、声も出せずにその武将を丸い目を見開き見つめていた。
その武将は夢太郎を見つめて言った。
「おお、やっと気づかれましたな、ささ、我が殿が先程からお待ちかねですぞ」
そう言うと彼の手を取り、起こそうとしたのである。
夢太郎は眠い眼を擦りながら意識を取り戻していた。
(先程から読んでいた小説の世界に来ているんだ、でもここは何処だろう?)
「あの、貴方は我が殿と仰いますが、その方のお名前をお聞かせ願えますか?」
夢太郎はあまりにその男が凛々しく、立派な武士であると解るので聞いてみたくなった。
「おお、我が殿のことでござりますな、左様……貴殿も知りたいでしょうなぁ」というなり、その武将はさも可笑しそうに笑ったのである。
夢太郎は自分が馬鹿にされたような感じになり、いつもの自分でない自分に何故かむかついていたのだ。 以外と夢の中の夢太郎はしっかり者らしい。そして、頭の上にきちんと結ったちょんまげの男は言った。
「殿は今、暇で退屈しておりまする、そうでなければ貴方のような方など、あはは……」 とさも可笑しそうに言うのである。
夢太郎はもう六畳間の安アパートの住人ではなかった、小説の中のその時代の中に自然ととけ込んでいたのだ。
「では教えますが、驚かれませぬように、我が殿とは、織田信長様であらせまするぞ」 そういうと武士はニヤリと笑った。夢太郎は腰を抜かさんばかりに驚いた。
「えっ! 織田信長?」
「左様、夢太郎殿、ささ着きました、あそこに殿がお待ちですぞ」
「ひやぁ!」
「なにぶんにも無礼がないように、殿はお気が短いので、言葉にはお気をつけて」
そう言うと武士は下がっていった。