ポチ
文字数 525文字
オレは後悔手帳を書き終えた。
結局、何も変わっていなかった。いや変わったのは間違いない。でもオレが変えたかったのはそれじゃなかったんだろう。オレが後悔したのはポチが病気になったことじゃない。ポチが老いて死んでいったことじゃない。
この先、未来がまたどう変わろうとも、オレが後悔することはきっと変わらない。後悔しない未来にするために何を変えればいいかは分かってる。でもオレはそいつをどうやって変えればいいかが分からない。オレは意図してそいつを創り上げた訳じゃない。偶然の産物。レシピ不明の出来上がった料理をどう作り直せばいい。それはもうそれでしかない。他のものにはなれない。勇者の物語なら魔王を倒して終わり。お姫様の物語なら幸せな恋をして終わり。
じゃあオレの物語は?
こうやって終わるんだ。
ポチは関係ない。仕事のことでも、恋愛でも、結婚でも、子育てでも関係ない。何もかも全て関係ない。
オレという一点が固定されれば結末も決まる。
こうやって終わるんだ。
この手帳を拾った時、オレは変えられると思った。未来を変えられると思った。後悔の無い人生を歩めると思った。
馬鹿だった。
一つ賢くなった。
何も変わらない。
これがオレの物語である限り、この手帳の中身は変わらない。
終わり
結局、何も変わっていなかった。いや変わったのは間違いない。でもオレが変えたかったのはそれじゃなかったんだろう。オレが後悔したのはポチが病気になったことじゃない。ポチが老いて死んでいったことじゃない。
この先、未来がまたどう変わろうとも、オレが後悔することはきっと変わらない。後悔しない未来にするために何を変えればいいかは分かってる。でもオレはそいつをどうやって変えればいいかが分からない。オレは意図してそいつを創り上げた訳じゃない。偶然の産物。レシピ不明の出来上がった料理をどう作り直せばいい。それはもうそれでしかない。他のものにはなれない。勇者の物語なら魔王を倒して終わり。お姫様の物語なら幸せな恋をして終わり。
じゃあオレの物語は?
こうやって終わるんだ。
ポチは関係ない。仕事のことでも、恋愛でも、結婚でも、子育てでも関係ない。何もかも全て関係ない。
オレという一点が固定されれば結末も決まる。
こうやって終わるんだ。
この手帳を拾った時、オレは変えられると思った。未来を変えられると思った。後悔の無い人生を歩めると思った。
馬鹿だった。
一つ賢くなった。
何も変わらない。
これがオレの物語である限り、この手帳の中身は変わらない。
終わり