第24話:優良馬の保管の仕事

文字数 1,770文字

 日本経済は、春以降、欧州債務危機の影響拡大による海外経済の減速を主因に低迷が続いた。実質GDP「国内総生産」成長率は4~6月期にマイナスに転じ、7~9月期のマイナス幅は前期比年率換算で3.5%に拡大。

 既に3月ごろに「山」を越え、後退局面に入った。日銀は2月、「当面1%」という事実上のインフレ目標を導入して金融緩和姿勢を強化。そのため6月1日の日経平均株価の終値で8500円を割り込んだ、

 9月、10月には、日本政府は、9年半ぶりとなる2カ月連続の追加金融緩和に踏み切った。11月1日、2012年3月期連結決算で、パナソニック、ソニー、シャープがそろって過去最大の赤字を計上した。

 韓国勢などとの価格競争激化や円高で、テレビ事業が不振を極めたためだ。3社合計の赤字額は1兆6千億円超。日本の産業界をけん引してきた家電大手の落日ぶりが鮮明となった。パナソニックとシャープは13年3月期も巨額赤字が続く見通しだ。

 いずれも大規模な人員削減などで苦境脱出を図るが、展望は開けていない。一方、地上デジタル放送の移行特需の反動で収益が悪化した家電量販業界では再編が加速。ビックカメラがコジマをヤマダ電機がベスト電器を買収するなど弱肉強食時代に突入した。

 12月6日、欧州債務危機は、ユーロ圏の崩壊といった最悪の事態は回避したものの依然としてくすぶり続けた。震源地ギリシャでは、5月の総選挙で緊縮財政反対派が躍進し、連立交渉に失敗した。

 6月の再選挙で、ユーロ残留を目指す緊縮派が過半数を確保したが国際通貨基金「IMF」や欧州連合「EU」との第2次支援の交渉は年末まで、もつれ込んだ。ただ、欧州中央銀行「ECB」が、9月にスペインなどの国債を無制限に買い上げる方針を表明。

 10月には、危機国に最大5千億ユーロの支援融資を実施できる欧州安定機構「ESM」も発足し、危機国の国債利回りはやや低下、ユーロ相場も反発に転じた。

 こうして11月となり、牧場の周辺の木々が、色づきはじめ、紅葉シーズンの到来。しばらくすると12月、時間ができると、四宮夫妻は、東京、横浜に出かけて、食事をしたり買い物をして帰って来た。

 12月になり、今年も中華街で、四宮夫妻だけで、忘年会を開いて今年の出来事を話して、来年は、牧場に本格的なソーセージ工場が、できるので、成功を祈願して乾杯した。その後20時前に牧場に帰ってきて、床についた。

 やがて、2013年となった。この年、冬は、ソーセージ工場の情報が、橋本、相模原、町田、厚木、海老名で知れ渡り、車でソーセージを買いに来る人達が、増えたため、平日も生産を継続して間に合わせた。

 来年は、ゴールデンウイークや夏休み、冬休みは、食品工場での経験のある人をパートやアルバイトとして時給制で雇う事も計画した。2013年3月に四宮夫妻が牧場の支配人に呼ばれた。

 部屋に入ると、実は、昨年から、数件、電話が入ったのだが、東京の映画会社、テレビ業界で使う馬をこの牧場で管理して欲しいという話が、舞い込んだと述べた。どの位ですかと、四宮恵子さんが聞くと今のところ10頭と答えた。

 もちろん利益は出るのだが、馬を飼育したり、扱えるスタッフが、4人しかいないので足らないのだが、どうしたら良いかと考えていると語った。この話を聞いて、馬も牛も飼育は、それほど変わらない。

 だから、馬を預かることは、できると思いますが、問題は、調教するとなると専門知識と経験が必要ですねと言った。調教までは、要求していないが、体調管理と健康管理、つまり、毎日、ある程度、馬を走らせる必要があると話した。

 馬にもよりますが、良い馬なら、1頭に最低一人、管理する程度なら、2頭に1人で、何とかなると思いますと伝えた。しかし、大事な馬なら獣医師さんと急診、往診の契約をしておいた方が良いと助言した。

 いくら位で、預かったら良いかなと聞くので、運動、体調管理、飼育料で最低、月に18~20万円で、獣医師代は別途、その位は、もらわないと、厳しいのではないかと教えた。

 今年、各社の担当者が来た時、四宮夫妻も交渉の時、同席していただけませんかと聞かれ、了解した。その後、4月初旬から毎日、1社ずつ、交渉を開始。東京の大手、映画会社、テレビ局、合計10社との交渉が決まった。
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