第2話 開かれた扉

文字数 592文字

2
10
△ 前のページへ

茜雲の泣く頃に
第2 開かれた扉
毎日のように繰り返される喧嘩



汚い言葉が飛び交い

あんなに仲の良かった父と母は憎しみ嫌い罵りあっている。



僕は二人から距離を取られ、まるで必要の失くなった邪魔者のように扱われた。



「子供なんて産まなきゃ良かった」



そんな母からの言葉が僕の心に一つの【鬼】を植え付けた。



僕は子供部屋の隅っこで毛布をかぶり耳を塞ぐ。



来日も来日も繰り返えされ終わることのない辛い日々が‥現実がループして僕の心に暗い影を落とし、深い哀しみと怒りに侵食されていく。



もう止めてよ!

聞きたくない!



僕の心が、いつしか悲鳴をあげていた。



でも、どんなに叫んでも

その声は届かない。



母さんも父さんも

みんな消えちゃえばいいんだ!

いなくなっちゃえ!!



そう心の中で強く強く叫んだ!!



その瞬間



パリーーーーーーーーン

張りつめていた心の硝子が粉々に飛び散った。

目の前の世界が一瞬にして真っ赤に染まり

ドクンッドクンッと激しくなる鼓動。

その音が次第に大きくなりだして僕の心を大きく、のみ込んでいった。



瞳から溢れ出る

紅い雫

拭っても拭っても止まることなく溢れ出る雫はやがて足元に大きな水溜まりを作りだし、僕は紅い雫の中へと身を沈めた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み