第5話

文字数 328文字

 リカが退室したあと、しばらく俺は動けなかった。ルームミュージックだけが陽気に響いていた。
 残ったコーラを一気に飲み干すと、俺は、リカと行くはずだった旅行計画書をなぞった。
 それは高校の卒業記念にと密かに計画していたものだ。
 (このアトラクションに乗って、ここのホテルに泊まってーーリカの夢だったよな……)
 駅に戻ってきた一泊二日のシュミレーションの計画書を閉じた。そしてそのままゴミ箱へ捨てた。
 俺は3号室のスイッチをオフにして、ショップナインのビルを出た。
 エレベーターで1階に降りると、たくさんの人々が忙しそうに行き交っていた。
 時は止まらない。
 俺はイヤホンを耳に突っ込むと眩しい光を感じながらゆっくりと歩き出した。
 どこへ行くあてもないままにーー
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