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文字数 530文字
「ケータイ小説は、何故死んでしまったのか?」
いささか、挑発的なタイトルであると筆者も思っている。
そして、「読む」「書く」の、いずれかでケータイ小説に関わっている人間からすれば、この上なく腹立たしいタイトルに違いない。
「勝手に殺すな」
「アナタが知らないだけ」
「ネットニュースでは、老舗魔法のiらんどは月間15億PVを誇る、と書かれていたが」
「テレビでも、スマホで小説を読む若者が急増、と取り上げられていた」
本書のタイトルを目にして、憤りを抱く気持ちは十分に理解出来る。
自身が深い関心を抱いている媒体の否定は、誰しもが「自身の否定」と捉えがちだからだ。
が、長年作家活動を通して、ケータイ小説に関わってきた人間としては、現在の状況はどこか閉塞感漂うモノとしか見えないのだ。
事実、ブーム時のようにケータイ小説発の書籍がベストセラーランキングを席巻、という話を聞かなくなって久しい。
そして、ケータイ小説サイトの老舗である魔法のiらんどは、文庫の出版を18年3月を最後に見合わせている。
かつては、「若者文化」の代表格であった、ケータイ小説。
そのケータイ小説は、何故ここまで衰退していったのだろうか?