【Chapter3】Silent

文字数 609文字


ツインレイには、極上の幸福感を得られる一方で様々な試練や学びが用意されている。


そして、その最たる事象ともいえるのが『サイレント』だ。


三位一体で繋がったツインレイに襲い来る最大の試練である。

運命の相手に巡り会い、激しく惹かれ求め合った後に『サイレント期間』という別れの時が訪れるのだ。

自分たちの力では如何ともしがたい事態がおき、天の采配とも言えるような、強引かつ天命を思わせる別離現象が起きる。

狂おしいほどに互いを求め合っているのに肉体的な別れを突きつけられる。



私たちの場合もそうだった。



互いの存在の大切さを感じ、このまま私たちの愛が『花ひらく』そう思えた矢先のことであった。


花弁が開こうとした…まさにその時に奪われた肉体の繋がり。


その苦しみは、育ち始めた愛という花を根こそぎ引き抜かれるような痛みが身体を襲い、心臓が締め付けられるような息苦しさを覚えるものであった。


『生きた心地がしない』


これが、その時、私が感じた感覚に1番近い言葉のように思う。


彼の肌に触れ、私を呼ぶ声を聞き、逞しい腕の中で眠る。

それが実現しない世界など、私にとって酸素が無い地球で暮らしていくようなものなのだ。

魂の伴侶であるツインレイの存在は、互いにとって、この宇宙で生きていくために必要不可欠な生命維持装置である。

だが私たちは『運命』という言葉の下に引き裂かれてしまった。



呼吸が出来ない。

胸が苦しい。

心と身体と魂。



全てが彼を求めて(もが)(うごめ)いていた。
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