冬のカルーセル

文字数 333文字

止まったままのカルーセル

雨の日だけ
カルーセルが回っているのを
見た子どもは
カルーセルは雨の日だけ
回るものだと思う

風が吹く時だけ
カルーセルが回っているのを
見た子どもは
カルーセルは
風が回しているのだと思う

止まったままのカルーセル

ひとりの子は
雨が降るのを待ち
別の子は風が吹くのを
待っている


止まったままのカルーセル

雪が降る時だけ
カルーセルが回っているのを
見た子どもは

もう一度
雪の中で回る
カルーセルが見たくて
冬の遊園地のすみで
じっと待っている
膝抱え雪が降るのを
待っているものだから

凍り付くまで
白い息吐き吐き
誰にも知られず待っていたい
待っていたかった

やがて誰かが
迎えに来てくれる日暮れまで
子どもは待っていたいと思う

止まったままのカルーセル

カルーセルは
子どもたちのこどうで
回っている
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