若葉の頃

文字数 383文字

かみさま
わたしは一度もかみさまなど
信じたことはないし
おそらくこれからだって
ずっとあなたのことを信じたり
あなたにすがったりして
生きてゆくことはないだろう

けれど今日今だけは
わたしにあなたの名を
となえさせて下さい
かみさま

どんな小さな草の花にも
生命は宿るものなのですね

かみさまマイラヴ

あなたに
口付けしたいほどの
今のおろかな
わたしなのです

どんな生命にも
よろこびは
宿るものなのですね

ことばも使えず
立って歩くこともままならない
そんな生まれた時から
ずっと今日まで
寝たきりだったひとり娘の

そのやせた体を
いつものように
洗ってあげている時
ふとふれた彼女の胸が

今しずかに
ふくらみかけていることに
気付きました
かみさまマイラヴ

気持ちのいい四月の風が
わたしのほほにも吹いています

かみさまマイラヴ

どんな生命にも
よろこびは宿るものなのですね

どうか今だけわたしにも
あなたの名をとなえることを
お許し下さい
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