第4話
文字数 1,149文字
「うそ、取れない……!なんで……?!」
光希は膝まで池に入り、急いで髪を洗った。腕を大きく動かして髪から血を洗い流そうとするが、血は塗料のように染み付いて髪に馴染んでしまっている。
「どうして流れないの!」
顔から流れた返り血が線を描いて垂れ落ちる。池を穢し光希の周囲が赤く染まっていく。
指の先がふやけ、制服がビシャビシャになるまで髪を洗ってもその血が取れる事はなかった。
それはまるで呪いみたいで、ものすごく気分が悪い。
「殺したのが、ダメだったの……?」
そう言って自分に問う。
頭のどこかで殺しはダメだ、当たり前の事だろう。という自分もいれば、結果的にここで生きていくには仕方の無い犠牲だった、ともいう自分もいる。
「じゃあ、どうすれば良かったの…」
結局、剣という物を手に入れてしまった自分は、どうするべきなのか。あのまま剣の言うことを聞かず逃げ回っていた方が良かったのか、そんな思いが脳裏をよぎった。
しかしながらどれだけ後悔しようともう事はしてしまった。後戻りは出来ない。
光希は重い体を引きづって湖から出ると、放り投げていた剣を拾い上げた。
剣にはまだ血がべっとりと付着していて、一体何が行われたのかありありと分かる状態。
「…剣は…、洗った方がいいかな。」
ため息を着きながら剣を池へと入水させる。振り払うように左右にゆっくりと振ると髪の時とはうって変わり、剣に着いた血はサラサラと水に溶けていった。
数十秒もすると剣は新品同様に美しい状態に戻る。良かった、とホッと息を着いたのもつかの間、自身がいる池のすぐ後ろ、草むらの方から何かが動いた物音がした。
「…ッ!」
急いで剣を構えて草むらを睨む。草むらはより一層大きく揺れて、それから枝と草をかき分けるような動きが見えた。
__来る。
心を落ち着かせて、後ろ足を一方後ろへ下げる。剣は真っ直ぐ構えて、標的からは目を離さない。
「……、見えた!」
先手必勝。そう言わんばかりの勢いで剣を振り上げる。今度は自身に血がつかないように少し腕を伸ばして標的から距離をつけた。
が、そのせいか少し剣先がぶれて出てきた影はヒョイと横に避けられた。
「なら、もう1回…!」
再び剣を構えて、それから影の方を向く。
「……え、」
草むらから出てきた影は、化け物ではなく、人の腕だった。
体はなく、肘から指先にかけての部分がふよふよと空中に浮いている。その指先は黒く染まり、肘にいたっては一部が水晶のように石化し固く変化してしまっていた。
「な、なにこれ…。」
困惑して驚き、未知への恐怖で自然と足が後ろに下がる。
「なんで人の腕なんかが浮いてるの…!」
叫ぶと腕の指先がピクリと動いた。
「なんだぁ、嬢ちゃん。俺の事知らねぇか?」
腕は口がないにも関わらず喋り始める。
これが光希の恩人、縛腕のリベルとの出会いだった。
光希は膝まで池に入り、急いで髪を洗った。腕を大きく動かして髪から血を洗い流そうとするが、血は塗料のように染み付いて髪に馴染んでしまっている。
「どうして流れないの!」
顔から流れた返り血が線を描いて垂れ落ちる。池を穢し光希の周囲が赤く染まっていく。
指の先がふやけ、制服がビシャビシャになるまで髪を洗ってもその血が取れる事はなかった。
それはまるで呪いみたいで、ものすごく気分が悪い。
「殺したのが、ダメだったの……?」
そう言って自分に問う。
頭のどこかで殺しはダメだ、当たり前の事だろう。という自分もいれば、結果的にここで生きていくには仕方の無い犠牲だった、ともいう自分もいる。
「じゃあ、どうすれば良かったの…」
結局、剣という物を手に入れてしまった自分は、どうするべきなのか。あのまま剣の言うことを聞かず逃げ回っていた方が良かったのか、そんな思いが脳裏をよぎった。
しかしながらどれだけ後悔しようともう事はしてしまった。後戻りは出来ない。
光希は重い体を引きづって湖から出ると、放り投げていた剣を拾い上げた。
剣にはまだ血がべっとりと付着していて、一体何が行われたのかありありと分かる状態。
「…剣は…、洗った方がいいかな。」
ため息を着きながら剣を池へと入水させる。振り払うように左右にゆっくりと振ると髪の時とはうって変わり、剣に着いた血はサラサラと水に溶けていった。
数十秒もすると剣は新品同様に美しい状態に戻る。良かった、とホッと息を着いたのもつかの間、自身がいる池のすぐ後ろ、草むらの方から何かが動いた物音がした。
「…ッ!」
急いで剣を構えて草むらを睨む。草むらはより一層大きく揺れて、それから枝と草をかき分けるような動きが見えた。
__来る。
心を落ち着かせて、後ろ足を一方後ろへ下げる。剣は真っ直ぐ構えて、標的からは目を離さない。
「……、見えた!」
先手必勝。そう言わんばかりの勢いで剣を振り上げる。今度は自身に血がつかないように少し腕を伸ばして標的から距離をつけた。
が、そのせいか少し剣先がぶれて出てきた影はヒョイと横に避けられた。
「なら、もう1回…!」
再び剣を構えて、それから影の方を向く。
「……え、」
草むらから出てきた影は、化け物ではなく、人の腕だった。
体はなく、肘から指先にかけての部分がふよふよと空中に浮いている。その指先は黒く染まり、肘にいたっては一部が水晶のように石化し固く変化してしまっていた。
「な、なにこれ…。」
困惑して驚き、未知への恐怖で自然と足が後ろに下がる。
「なんで人の腕なんかが浮いてるの…!」
叫ぶと腕の指先がピクリと動いた。
「なんだぁ、嬢ちゃん。俺の事知らねぇか?」
腕は口がないにも関わらず喋り始める。
これが光希の恩人、縛腕のリベルとの出会いだった。