慟哭の巡礼蝶

文字数 369文字

僕、気付きました。僕はコノハとミウにそっくりだなって。

コノハはミウノコトヲ考えると、空にいるのに海のなかにいて、海のなかでは息ができなくなる。

ミウはプライドだけは高くていつもコノハのことを見下して、自分に優しくする人を大切にできないよね。

ミウはコノハを引き止めるのに必死だったし、コノハはミウがいなくなるといつも泣いていたね。

僕も今泣いているよ。僕を引き止めたいし、僕を引き止めたくない。

……(引き止めてもらうにはあまりにも長い時間この言い訳だらけの脳髄は汚れすぎました)。注釈:これも借り物の言葉

……ミウ、コノハ、僕の最後の矜持としてこの手紙の仮の差し出し人になってくれないかな、最後の一線なんだ、それが。

いいでしょう。だって僕たちとっても似ているもの。古い映画の登場人物のように、とってもとっても。

    一九九四年冬 高橋タツルより
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