第8話
文字数 869文字
教室で働き始めてから少し経った。仕事にはだいぶ慣れてきたし、魔法も数ヶ月前よりは使えるものが増えた。だが、やはり無茶をすると倒れ込むというのは変わらなかった。
「掌から火を出す魔法はテキストの三十ページの流れを大体掴めれば使うことができます。簡単な魔法なので、すぐに使いこなせると思います」
講義をしていると、向こうのほうでドアが大きな音を立てて閉まった。私は講義を一旦止めてドアのそばで心配そうな顔をした山内さんに声をかけた。
「どうしましたか?」
「カイト君がまた逃げ出しちゃったんです」
「またですか」
カイト君という子は一ヶ月前からここに通っていて、最近は魔法が思うように使えなくて教室から逃げるということが多々あった。
「とにかく手分けして探しましょう」
私と内山さんは手分けしてカイト君を探した。すると十分程でカイト君は見つかった。近所の廃倉庫でうずくまっていた。私と内山さんは合流すると彼に近づいた。
「また教室を抜け出して、どうしたの?」
「先生にはわかんないもん! 魔法が使える先生には!」
その答えに私はどう答えていいのかわからなくなった。だが、明確に言えることはある。
「先生だって、初めはそうだったんだ。だんだん慣れて使いこなせるようになった。だけど、先生事故に遭っちゃってさ、思うように魔法が使えなくなちゃった」
「そんなの嘘だよ! だって先生火を出すの簡単にできるじゃん!」
この子とは粘り強く話していかなくちゃいけない。そう思った。その時だった。廃倉庫の鉄骨の柱が崩れ落ちてきた。
「うわ!」
カイト君と内山さんが危ない。私は咄嗟に魔法を使った。
廃倉庫はすぐに総崩れとなった。私は以前、ショーの時に使っていた瞬間移動の魔法を使って自分とカイト君と内山さんを逃した。それがいけなかった。
「ぐはっ」
私の口から大量の血が出た。無茶をし過ぎた。私はその場で倒れ込んだ。
「先生!」
「藤原さん!」
二人が駆け寄ってくる。私はもうダメそうだ。もうじき息絶える。だが、後悔はない。魔法使いとしてできることはやった。私は魔法使いなのだから。
「掌から火を出す魔法はテキストの三十ページの流れを大体掴めれば使うことができます。簡単な魔法なので、すぐに使いこなせると思います」
講義をしていると、向こうのほうでドアが大きな音を立てて閉まった。私は講義を一旦止めてドアのそばで心配そうな顔をした山内さんに声をかけた。
「どうしましたか?」
「カイト君がまた逃げ出しちゃったんです」
「またですか」
カイト君という子は一ヶ月前からここに通っていて、最近は魔法が思うように使えなくて教室から逃げるということが多々あった。
「とにかく手分けして探しましょう」
私と内山さんは手分けしてカイト君を探した。すると十分程でカイト君は見つかった。近所の廃倉庫でうずくまっていた。私と内山さんは合流すると彼に近づいた。
「また教室を抜け出して、どうしたの?」
「先生にはわかんないもん! 魔法が使える先生には!」
その答えに私はどう答えていいのかわからなくなった。だが、明確に言えることはある。
「先生だって、初めはそうだったんだ。だんだん慣れて使いこなせるようになった。だけど、先生事故に遭っちゃってさ、思うように魔法が使えなくなちゃった」
「そんなの嘘だよ! だって先生火を出すの簡単にできるじゃん!」
この子とは粘り強く話していかなくちゃいけない。そう思った。その時だった。廃倉庫の鉄骨の柱が崩れ落ちてきた。
「うわ!」
カイト君と内山さんが危ない。私は咄嗟に魔法を使った。
廃倉庫はすぐに総崩れとなった。私は以前、ショーの時に使っていた瞬間移動の魔法を使って自分とカイト君と内山さんを逃した。それがいけなかった。
「ぐはっ」
私の口から大量の血が出た。無茶をし過ぎた。私はその場で倒れ込んだ。
「先生!」
「藤原さん!」
二人が駆け寄ってくる。私はもうダメそうだ。もうじき息絶える。だが、後悔はない。魔法使いとしてできることはやった。私は魔法使いなのだから。