異性間の戦略的正しさについて

文字数 923文字



これは居酒屋で私の隣に座った男が、酎ハイを飲みながら話してくれた話です。


彼が中学一年の頃、クラス中の男子が女子のスカートめくりに熱狂していた。


彼も最初の頃は、そのうちに一人だったが、


熱狂の中で彼だけはある事に気づいた。


クラスで・・・いや学年で一番かっこいい男子生徒だけは、


クラス中の男子が熱狂していはスカートめくりに参加してはいなかった。



その時の彼には、その一番かっこいい男子生徒の方が、


スカートめくりに熱狂している男子より、戦略的に正しい様に思えた。


戦略的に正しいとは・・・もちろん、女子にもてるための戦略だが、

授業中は動きの鈍い彼の頭脳だが、この時ばかりは素早く回転し、


その一番かっこいい男子生徒の行為を『戦力的に正しい。』と結論付け、


彼は熱狂的スカートめくりに参加することを取りやめた。


その副作用として、男子に付き合いの悪い奴、と思われはしたが、


コンビニで立ち読みする順番が、週刊ジャンプより、


ホットドックプレスやポパイの方が先になっていた彼にとって、


その種の友情など、愛情に比べればかすみたいな存在だった。


とはいえ、学年で一番かっこいい男子生徒と違って、


凡人の彼にその戦略的正しさの効果など、すぐに出るはずも無かった。


中学を卒業して高校に進学し、


そして大学の受験準備を始めようとしていた頃、


中学1年の時判断し実行した、


その戦略的正しさの効果は現れ始めた。


高校1年から2年になる時のクラス替えで、


中学1年の時同じクラスだった女子と、


再び同じクラスになった。


その中学1年の時同じクラスだった女子は、


中学一年の時彼が取った行動を覚えていた。


そして、昼食の時間に思い出話の1つとして話題にあげた。


それ以降、女子にとって凡人に過ぎなかった彼の好感度は上がり、


彼に中学の時一番かっこよかった男子生徒のイメージに近い、ブランドイメージを植えつけた。


そして、高校生活も終わりに近づいた頃、彼は幸運を勝ち取った。

中学1年の時取った、戦略的に正しい行為によって、


凡人の彼にはもったいないほどの最良の彼女を手に入れ、愛を育んだ。


居酒屋で隣に座る彼は私に

「もうすぐ結婚するんだ。」

と嬉しそうに言った。


私は結婚のお祝いに、彼に酎ハイを一杯おごって外に出た。




おしまい
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