第18話 37編の中で

文字数 883文字

 自分に対して、真剣に向き合ったもの。他者(PVだとか何だとか)に向かってのものは、基本的に書けないし、およそ一般受けするものを書いてきたと思えない。
 だから、なおさら、もし読まれたことが事実であるなら、これほど嬉しいことはない。投稿する中で、それなりに自分に向き合おうとしてきたからだ。
 元々、書くのは矛盾した作業であって、内向しながら外向する。が、内向に深さがあるとしたら、そのぶん、外から受ける嬉しさも大きくなる。薄い向き合い方だったら、同様の、薄いものしか享受できない。
 ありがたみ、を感じることができるのは、それだけ、とりあえず一生懸命、何のためにか自分と向き合い、書いてきたからだと思う。

 ひとりの人間でしかないから、いえば生き方と同様、一定のことしかできない。書けない。
 大体、こんなことしか書けないんだな、と、自分の限界も感じる。それで当たり前だな、とも思う。
 この、投稿した37編、最も恥ずかしかったのは「学校・会社拒否体験」で、ほとんど恥部。読んで下さった方には、申し訳ないなと本気で感じる。
 書いていて楽しかったのは「中国思想史」で、森三樹三郎さんの名文に触発された勢いと、荘子に対する愛着と莫大な信頼が、思想史という時間の流れを快く追わせた。人間の頭の中、心の中は、ほんとうに楽しい。

「些細なコトなど」は、ひとりで気に入っている。書くことが、楽しかった。「格子戸」も好きだったが、そんなに読まれなかった。だから頂くコメントも嬉しかった。
 唯一小説らしきものが「現実と非現実」だが、これもあまり読まれなかった。「ホントウに愛すること」は、ホントウに考えながら書いた。苦しい作業だったけれど、書かざるを得ず、妙な達成感は得られた。
 結局同じようなことを書いてきたことは否めない。そうして、いたずらにこのような過去を省みても、いよいよどうしようもない。
 外がいい天気で、机に張り付いていても仕方ない。
 あれこれと、書きたいことはあるけれど、さしあたって今まで書いてきたものが、自分自身であると言って差し支えない。さあ、これからどうするか。
 歩こう。
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