文字数 695文字

「ゲームは好きかい?」

 僕は大好き、と付け加えて、エレン先生は質問を投げかけた。

 好き!大好き!あれは知ってる?
 そんな朗らかな声が一瞬で空気を満たすと、エレン先生は「トゥトゥトゥトゥトゥー」と人差し指を揺らせて場を沈めた。

花音(かのん)、君が今夢中になっているゲームはなに?」

 ひとりの児童に目を向けて、そう聞いた。彼女は輝かせた瞳と共にこう答える。

「メイク ザ フラワーガーデン!」
「それはどんなゲームなの?」
「お花の種をいっぱい植えて、色々な花を咲かせるのっ。そのお花を摘んで、お花屋さんで売るのっ。たくさん売れば売るほど、お金が貯まるんだ!」
「それは楽しそうなゲームだね。今度僕も、やってみるよ」

 半分お尻をあげたエレン先生は彼女の頭を撫で、「教えてくれてありがとう」と言った。

竜星(りゅうせい)、君のハマってるゲームも教えてよ」

「俺は色々あるけど……昨日やってたのはアタックゾーンかな」
「それはどんなゲームなの?」
「普通だよ。ただ敵を撃ってくだけのやつ」
「だけど楽しいんだ」
「そう」
「ならよかった」

 今度のエレン先生は頭を撫でなかった。低学年と高学年とで、対応を分けている。

「みんながいつもやってるゲームは、どこでやってるの?」

 全員が「家」と答えた。彼は「間違えた」と言った。

「どこで、じゃなくて、ナニで、か。ゲーム機本体の、名前」

 その言葉で、児童それぞれがゲーム機の名前を口にする。今流行りのものがほとんどだったけれど、昔っからあるようなゲーム機の名前もちらほら聞こえた。
 彼はうんうんと頷いたあとに、再び質問を投げかける。

「じゃあさ、そのゲーム機の電池が切れそうになっちゃったら、どうする?」
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