#5 登城編
文字数 1,383文字
5人はお城の前まで来ました。
お城はお堀に囲まれています。中に入るには、そこに架かる橋を渡らなければなりません。しかしその橋は今、跳ね上がっています。
「お城に入りたいのですが、橋を降ろしてもらえませんか?」
『ダメだー。さっきの雨で増水したから橋は降ろせない』
つれないお返事が返ってきました。
「僕には会ってくれないんだー」
A君は挫けてしまいます。根性なしです。ヘタレです。
「僕達に任せて!」
四色ボルツが名乗り出ます。一体、何をしようというのでしょうか。
四色ボルツは5人のいる場所からお城まで円弧を描きます。それを赤、緑、青で描き分け、虹の橋を完成させました。
5人は、その虹の橋を渡ってお城に入ることが出来ました。四色ボルツは四色を出し入れしてパチパチと音を立て、得意がります。
うるさいです。
◇
やっと目的地に到着しました。早速、お姫様と謁見です。
A君のソワソワ、モジモジが止まりません。
しっかりしなさい!
「あの〜」
「何の用ですか? 私は忙しいのです。手短にお願いします」
お姫様は朝からメールのチェックに余念がありません。毎日、大量のメールが送られてくるようです。タブレットを擦り擦りしながら、A君を見ようともしません。
「失礼な!」
万年筆子が怒り出します。お嬢様育ちですから。
「何ですか?」
お姫様がこちらを向きました。gJobです。万年筆子。
鉛子がその鋭い芯先をA君に突き刺します。
「痛っ! あの〜、これを受け取ってください」
「お手紙ですか? eメールではなくて」
「そうです。お願いします」
「その辺に置いておいてください」
「今、読んではくれませんか?」
「えー」
鉛子の提案にA君は顔を真っ赤にします。
「内容は何ですか?」
お姫様はさらりと質問します。A君は、更に顔を赤くしてしまいます。まるで赤鬼のようです。それでも鉛子の芯先を見て勇気を振り絞ります。
「ら、ら、ららら、ラブレターです」
A君は歌うように答えました。歌手になる希望は絶たれました。
「分かりました。後で拝見し検討致します」
「お願いしまーす」
お姫様にとってラブレターは日常茶飯事のようです。A君の想いが埋もれてしまわないか心配です。
A君はやっとお姫様に手紙を渡すことが出来ました。その感動でA君は動けなくなったようです。
「まだ、何か?」
「……」
「ああ、そうでしたね」
お姫様は手馴れて様子でA君に受取書を渡しました。お姫様のサイン入りです。A君は受取書を手に嬉しくて舞い上がってしまいます。その結果はどうなるのでしょうか? 楽しみです。
◇
さて、お約束通り、有頂天のA君は現実世界に強制送還されました。机の上で目を覚ましたA君は、あれは夢だったのかと思い落胆しました。しかしその手には、お姫様から貰った受取書があります。
A君のドキドキ、ソワソワが止まりません。明日、どんな顔で会えばいいんだ。そんな贅沢な悩みを抱えてしまったようです。
好きにしてください。
そういえば、チョー子先生はどうしたのでしょうか。
「あの子達、遅いわねー」
王女様のチョー子先生はお城でまだ、5人の到着を待っているようです。
これだから適齢期を……これは内緒でしたね。
【おわり】
お城はお堀に囲まれています。中に入るには、そこに架かる橋を渡らなければなりません。しかしその橋は今、跳ね上がっています。
「お城に入りたいのですが、橋を降ろしてもらえませんか?」
『ダメだー。さっきの雨で増水したから橋は降ろせない』
つれないお返事が返ってきました。
「僕には会ってくれないんだー」
A君は挫けてしまいます。根性なしです。ヘタレです。
「僕達に任せて!」
四色ボルツが名乗り出ます。一体、何をしようというのでしょうか。
四色ボルツは5人のいる場所からお城まで円弧を描きます。それを赤、緑、青で描き分け、虹の橋を完成させました。
5人は、その虹の橋を渡ってお城に入ることが出来ました。四色ボルツは四色を出し入れしてパチパチと音を立て、得意がります。
うるさいです。
◇
やっと目的地に到着しました。早速、お姫様と謁見です。
A君のソワソワ、モジモジが止まりません。
しっかりしなさい!
「あの〜」
「何の用ですか? 私は忙しいのです。手短にお願いします」
お姫様は朝からメールのチェックに余念がありません。毎日、大量のメールが送られてくるようです。タブレットを擦り擦りしながら、A君を見ようともしません。
「失礼な!」
万年筆子が怒り出します。お嬢様育ちですから。
「何ですか?」
お姫様がこちらを向きました。gJobです。万年筆子。
鉛子がその鋭い芯先をA君に突き刺します。
「痛っ! あの〜、これを受け取ってください」
「お手紙ですか? eメールではなくて」
「そうです。お願いします」
「その辺に置いておいてください」
「今、読んではくれませんか?」
「えー」
鉛子の提案にA君は顔を真っ赤にします。
「内容は何ですか?」
お姫様はさらりと質問します。A君は、更に顔を赤くしてしまいます。まるで赤鬼のようです。それでも鉛子の芯先を見て勇気を振り絞ります。
「ら、ら、ららら、ラブレターです」
A君は歌うように答えました。歌手になる希望は絶たれました。
「分かりました。後で拝見し検討致します」
「お願いしまーす」
お姫様にとってラブレターは日常茶飯事のようです。A君の想いが埋もれてしまわないか心配です。
A君はやっとお姫様に手紙を渡すことが出来ました。その感動でA君は動けなくなったようです。
「まだ、何か?」
「……」
「ああ、そうでしたね」
お姫様は手馴れて様子でA君に受取書を渡しました。お姫様のサイン入りです。A君は受取書を手に嬉しくて舞い上がってしまいます。その結果はどうなるのでしょうか? 楽しみです。
◇
さて、お約束通り、有頂天のA君は現実世界に強制送還されました。机の上で目を覚ましたA君は、あれは夢だったのかと思い落胆しました。しかしその手には、お姫様から貰った受取書があります。
A君のドキドキ、ソワソワが止まりません。明日、どんな顔で会えばいいんだ。そんな贅沢な悩みを抱えてしまったようです。
好きにしてください。
そういえば、チョー子先生はどうしたのでしょうか。
「あの子達、遅いわねー」
王女様のチョー子先生はお城でまだ、5人の到着を待っているようです。
これだから適齢期を……これは内緒でしたね。
【おわり】