第5話 たくわん
文字数 612文字
日本食が大好きな夫、新しい味にチャレンジするのも大好きだ。
カリフォルニア出身なので日本食も結構食べ慣れている。はじめて日本に来た時に1人で街を探検し、見るもの全て珍しく、写真を撮りながら街を練り歩いたそうだ。
スーパーに入った夫はタクワンを見て大興奮。
「あれだ!カリフォルニアの日本食レストランの定食とかについている黄色い美味しいやつだ!!」大好きなアレ。
大喜びで長いタクワンを丸ごと買って、ビニールを剥きながらボリボリと歩き食いをしたそうだ。
「そうしたらね! 半分も食べてないのに気持ち悪くなったんだよ!!」
当たり前だ。半分近く食べたのなら、塩分摂りすぎ。
「あとね、外国人だからか、すごく見られた」
それが理由じゃないな。たくわん丸かじりしてたからだな。
確かに外国の食べ物は食べ方がわからない場合が多い。夫の母が日本に来た時に初デートに行ったしゃぶしゃぶ店に連れて行った。初めに鍋が運ばれてきた。
「お湯!?」
「ここにね、薄いお肉をスイースイーって洗うように入れるの」
「そうなの? びっくりした。お湯だけ?って」
またしゃぶしゃぶの食べ方を身振りで説明しているところに野菜がやってきた。白菜、もやし、ネギが乗っている大きな皿を受け取ったとたん、もっしゃ、もっしゃと食べ始めた。
「うわ~~~~~ストップ!それ鍋に入れるの~~」
サラダだと思ったそうだ。
「味がないなと思ったわ」と言いながら、もやしを食べていたのを今でも思い出す。