第2話
文字数 634文字
ゴンドラから宇宙服に着替えて月の地面に足を着けた。
月の気温は夏の御宮下市内と比べると信じられないくらいに寒かった。真っ白い息を宇宙服の中で吐き出すと、宇宙服の中が寒い息で一杯になった。
地球という名の青い星をぼくは振り返って。
東の空から星々が降り出す。
ぼくは地球に向かって「さよなら」と手を振った。
月の裏側は、いや、月に裏も表も元々ないんじゃないかな。
かなり歩くと、もう地球が見えなくなっていた。
辺りは暗闇と眩い星雲が覆う。
もう、ここはだれの世界でもない。ぼくだけの世界なんだ。と、ぼくが勝手に思っていると、後ろから声を掛けられた。
「ねえ、地球はどこ? 道端で寝てたら道に迷っちゃって……」
振り向くと、綺麗な人だった。
今まで見たことのない綺麗な女の人だ。
ぼくは辺りを見回し、即座に首を振った。
「いや、ぼくも知らないんだ……君と同じく道に迷ってしまったよ」
「あら、そうなの……困ったわねえ」
「ところで、宇宙服はどうしたの?! 普段着のようだけど?」
「ここなら息もできるのよ。地球とあまり変わりないわね」
「ふーん……」
ぼくも宇宙服を脱いでみた。
途端に、寒くて仕方がなかった。
「ずっと、一人? もしかしてここに住んでるの?」
「やあねえ、家族と一緒よ。今ははぐれたけれど……」
「ふーん」
「ねえ、私と一緒に地球を探さない?」
「うん。いいよ……」
「私の名前は……月ノ瀬 かぐや」
「ぼくは星野瀬 ひかり」
「少し歩こう」
「ええ。このまま月の果てまで……」
月の気温は夏の御宮下市内と比べると信じられないくらいに寒かった。真っ白い息を宇宙服の中で吐き出すと、宇宙服の中が寒い息で一杯になった。
地球という名の青い星をぼくは振り返って。
東の空から星々が降り出す。
ぼくは地球に向かって「さよなら」と手を振った。
月の裏側は、いや、月に裏も表も元々ないんじゃないかな。
かなり歩くと、もう地球が見えなくなっていた。
辺りは暗闇と眩い星雲が覆う。
もう、ここはだれの世界でもない。ぼくだけの世界なんだ。と、ぼくが勝手に思っていると、後ろから声を掛けられた。
「ねえ、地球はどこ? 道端で寝てたら道に迷っちゃって……」
振り向くと、綺麗な人だった。
今まで見たことのない綺麗な女の人だ。
ぼくは辺りを見回し、即座に首を振った。
「いや、ぼくも知らないんだ……君と同じく道に迷ってしまったよ」
「あら、そうなの……困ったわねえ」
「ところで、宇宙服はどうしたの?! 普段着のようだけど?」
「ここなら息もできるのよ。地球とあまり変わりないわね」
「ふーん……」
ぼくも宇宙服を脱いでみた。
途端に、寒くて仕方がなかった。
「ずっと、一人? もしかしてここに住んでるの?」
「やあねえ、家族と一緒よ。今ははぐれたけれど……」
「ふーん」
「ねえ、私と一緒に地球を探さない?」
「うん。いいよ……」
「私の名前は……月ノ瀬 かぐや」
「ぼくは星野瀬 ひかり」
「少し歩こう」
「ええ。このまま月の果てまで……」