第5話

文字数 302文字

 ケーキ屋さんの傍でかぐやがぼくを待ってくれていたようだ。
 ぼくはもう独りぼっちじゃないんだね。

「よかったー。君を探してよかった」
「ほんとよね。また会えたわね」
「ケーキ屋さん。店員さんもいないんだね」
「そうね。ここへ来た時はまだ開店もしていなかったわ。明日開店する予定に変更していたみたい」
「ムーン・スペースの竣工式?」
「そうかもね」

「ねえ、ちょっと……誰かいないか探してみましょうよ」
「ああ、そうだね」

 これから二人だけの旅が始まる。
 ぼくはそう確信した。

 月にはもう戻れないけれど。
 食料もあるかわからないけど。
 人がいるかわからないけど。
 
 そうここ広大な御宮下市は今では、あの月と同じだった……。
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