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文字数 641文字

 私は誰寝ているだけで、とても暇だった。
出来れば、何かを考えていたかった。
寝てしまうと、そのまま起きないかもと寝るのが怖かったのだ。色々考えた。
 私が死んだ後、家族はどうするのだろう?
息子はもう成人している、だが感染する恐れがある。娘は未だ学生だが、何とか成るだろう、自分の保険金があるだろうから・・・。
ならば安心か。私が死んだ方が家族の生活は、楽かも知れないな。
そんな自虐的な事を思って笑ってしまったが。
顔を動かすのが辛かった。
私は熱と咳に、うなされているのだから。

 この病気の症状は風邪に良く似ている。
最初は誰でも風邪だと思ったものだ。
むしろ、インフルエンザであって欲しいとすら思った程だ。
しかもこの病気、誰にでも移るのだが。
不思議な事に女性の罹患率が圧倒的に低い。
年寄は、男女関係無く罹るのだが。
WHOの調べによると、原因は未知のウイルスである事が判明した。
だが、そのワクチンはようとして開発する事が出来なかった。

 発症すると大抵、早い人で2週間ともたずに亡くなる。点滴や、その他の薬で1か月から、長い人で2か月もつが。
体力の無いお年寄りは大抵、合併症を引き起こして亡くなってしまう。
 私は既に3週間この病院にいる、個室ではない。あまりにも患者が多いので、大部屋で詰め詰めで入院しているのだ。
野戦病院とはこんな感じなのだろうか?
映画を見ている様だった。
現実感が、熱のせいで無かった。
 私は50歳、果たして体力がいつまで持つのか。このまま意識を失い、多臓器不全で死ぬのだろうか?
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