第2話

文字数 608文字

 たつやは、カレーをあっという間に食べてしまい、清雅の食べかけのふんわり卵のオムレツに手を出した。
「ほんと、和風の味付けなんだな。でもね、そんなに味は悪くないよ。食べれば良かったのに」
「うん、ごめん。私、好き嫌いが激しいの」
 男もそう、この人も違う。清雅はそう思うと、届いた抹茶パフェにスプーンを差し込んだ。先ほど脱いだ、紫のスカートと、白のブラウスを素早く身につける。
「いつまでもキャミソールだけだと寒くなかった?」
「私はとても暑がりなの」
室温は二十度に設定している。先ほどまでの熱戦の後だからでも、シャワーを浴びたからでもない。たつやはたいしたことはなかった。ただ若いだけで、技巧も前戯もおざなりだった。清雅は自分の探していたモノではないので、早く帰りたかった。顔はとてもきれいなのに……。軽いキスも深いキスもそんなの全然感じない。私の目の奥が火花でスパークするようなキスを誰かくれない? 若いだけで見た目はいけているので数をこなしているのかと思うほど経験は多くないなと清雅は思った。
 脱ぐとたいしたことない、それが男なのかもしれないと思って、抹茶パフェで遊んでいた。この抹茶パフェもまがい物でただ甘いだけだ。
「ねえ、一時までに帰りたいの。早く食べてぇ」
 清雅は甘えるように言うと、立ち上がった。十一時に入ったのでサービスタイムが終わってしまうし、夫が配達から帰る時間だ。
 安田康平、夫はよそに女がいる、きっと。
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