4:みとれる
文字数 1,574文字
4限の講義を終えた放課後
やっぱり行きたくなかった。めんどくさい。
無視することも出来たが、連絡先も知らないし、ドタキャンは嫌いなので待ち合わせ場所である校門前に行ってやることにした。
そいつ――みずきは、木にもたれ掛かってスマホを弄っていた。
それだけでモデルのように様のようになって、綺麗で、立っているだけで絵になった。
誰もが目を向けてしまう。顔面の綺麗さだけじゃなくて、そういう人を惹きつけるオーラがあった。声をかけてもいいのか、関わると俺まで注目が浴びそうだ。
……っ
はあ、見蕩れる? わけがないだろう。自意識過剰もいい加減にしろ。
見蕩れてた?そう聞かれてドキッとした。
実際見蕩れていたが、それを認めてしまってはさらに調子づかせることになるだろう。
それは、悪かったな……って、早く来るも何も時間ぴったりなんだが
……俺は女じゃないが
すごいな……1時間も遅刻されたら、俺なら絶交だ。10分で限界だ。
今、見た目通りとか失礼なこと言われたが、俺は寛大なので許してやることにした。
ID……ってなんだ?なんのID……?
LINE……ああ、これか。使わないから忘れてた。
一応インストールしてある。学科のLINEグループというものに入らされたし、高校の友達とはたまにだが連絡し合う付き合いがある。ここ半年は起動しておらず、存在も忘れていたが。
う、うるさいな。見るな。別に……交友なんてめんどくさいだけだ。
あ、ああ……友達……
か、かわいくない
そう言いつつ、嬉しかったのが本音だったし、口元も歪んでしまった。
コードを読み込むと、新しい友達の欄に現れたのは、門脇みずきという人物。
その時、初めてフルネームを知ったし、何も知らなかったということを知った。
何故教えなくちゃいけない。それだけ知ってれば充分だろう。
何故だ、気持ち悪い。俺はお前のことを苗字で呼ぶぞ。
名前で呼んでほしいとか、こいつは女か? 俺が折れるしかないのかもしれない。
……わかった、みずきって呼ぶ。でも、俺のことは苗字で呼べ。名前は好きじゃないんだ。
ふっ……確かにな。
それは分かる。
昔からアニメを見るたびに怖そうなボス的立場の人が持つ苗字だと思っていた。
だから、自分には似合わない。だからこそ人の上に立つ人物になるため、会社を立ち上げようというきっかけにもなったのだが。
……笑ってない
今絶対笑ったのに、と言いたげな視線を受けた。俺はそれをかわしつつ、俺たちは大学の外へと歩き出した。